130号 2009年 秋

機関誌
嬉々としてラグビーを楽しむ子どもたち
文/写真・今野 完治

ラグビーからみる世界

写真・今野 完治

野球やサッカー、ラグビーなどいわゆる「近代スポーツ」の多くは、もともとイギリスで生まれ、植民地化・近代化のなかで広がっていったものである。本特集では、ラグビーが発祥の地イギリスを離れ、旧植民地をはじめとするそれぞれの国でどのように持ち込まれ、受容されているのか、それぞれの社会や文化とともに、ラグビーの過去と現在の世界的な広がりについて考える。

スポーツから世界をみる 文・石井 昌幸
ラグビーでみるイギリス社会史 文・石井 昌幸
アイルランド ナショナル・アイデンティティの多層性 坂 なつこ
「ラグビー王国」ニュージーランド 新井 正彦
楕円ボールのイレギュラー・バウンド
オーストラリアにおけるラグビー・リーグの誕生と展開 尾崎 正峰
フィジーの国民スポーツ「ラグビー」 橋本 和也
在日トンガ人ラグビー選手
グローバルな移動とスポーツ ニコ・ベズニエ 北原 卓也

万国喫茶往来 第6回
トルコのコーヒー文化とコーヒーハウス
オスマン時代から共和国時代へ
文・鈴木 董
写真・大村 次郷

再見細見世界情勢14
革命から50年
カストロ以後のキューバのゆくえ
後藤 政子

歴史とともに生きる
南アフリカ・グリクワの人びと

海野 るみ

南アフリカに住むグリクワは、この地の歴史においてかたちづくられた、さまざまなルーツをもつ多様な人びとの共同体である。そのような彼らが、みずからを「グリクワ」たらしめ、時代を生き抜くために共有するのは「グリクワの歴史」であるという。南アフリカの歴史をたどりながら、グリクワが共有する「歴史」をみる。

国立民族学博物館ミュージアム・ショップ

【地域(国)】
東アジア(日本)
西アジア(トルコ)
オセアニア(ニュージーランド、オーストラリア、フィジー、トンガ)
南アフリカ(南アフリカ)
西ヨーロッパ(イギリス、アイルランド)
南アメリカ(キューバ)

129号 2009年 夏

機関誌
竹をつかったお椀型の船に乗る少年たち
中 淳志

特集 竹と暮らし
モンスーンアジアの竹文化

写真・中 淳志
溝縁 ひろし

観光地にひろがる美しい竹林の風景。懐石料理に季節感を添える筍料理。人びとは「竹」に非日常性をもとめているように感じられる。 しかし、食事にかかせない「箸」、記録に不可欠な「筆」など、日常生活に竹カンムリの漢字が数えきれないほど存在するように、かつては不可欠な存在だったのではなかろうか。 現在でも、さまざまなかたちで竹と密接な関わりをもつモンスーンアジアを事例に、暮らしに近づいたり離れたりと、時と場所で変化する人と竹との関わりについて考える。

竹を語ろう
久保 正敏

タケとは何か――モンスーンアジアに広がるタケ
柏木 治次

簡便素材としての竹
小島 摩文

儀礼の竹
吉田 裕彦

竹の楽器
福岡 正太

建築素材としての竹
清水 郁郎

竹と人の関わり――竹筬から見えてきたもの
田口 理恵

シリーズ 万国喫茶往来
第5回 茶房(韓国)

文・朝倉 敏夫
写真・大村 次郷

ミルクを食べる
アジア大陸の人びとと乳製品のかかわり

平田 昌弘

炎天下50度を超えるなか、脱水しきって辿り着いたベドウィン(アラブ系牧畜民)の黒いテント。ベドウィンはあたたかく迎え入れてくれ、一杯の酸っぱいミルクを差し出してくれた。適度な酸味のキレと透き通った味が、身体の細胞の隅々まで染み渡っていく。美味しさの感動が身体を振るわせる。 後で、その時の酸っぱいミルクは、酸乳を攪拌してバターを加工した際にでる残乳(バターミルク)であることを知る。その時の感動を胸に、ミルクを知れば知る程に、ミルクの奥深さにのめり込んでいった。 アジア大陸の人びととミルクのかかわりを2地域を比較しながら眺めてみたい。

連載 朝メシ前の人類学
フィールドでうまれる対話 第8回(最終回)
私たちは、これからどうしたらいいんですか?
文・松田 凡
写真・水井 久貴
絵・中川 洋典

アラブとイスラエルの周縁で
ガリラヤ地方のメルキト派カトリック信徒

菅瀬 晶子

イエス・キリストの故郷とされるガリラヤ地方。現在では、レバノンと国境を接するイスラエル領内にあり、メルキト派カトリックを信仰するアラブ人キリスト教徒が多く居住している。 イスラエルの中のアラブ人、そして、アラブ人のなかのキリスト教徒という二重のマイノリティである彼らは、どのような生活を送っているのだろうか。 ガリラヤ地方に住むメルキト派カトリック信徒の信仰生活を中心に紹介し、イスラエルのなかでアラブ人キリスト教徒として生きることを考える。

国立民族学博物館ミュージアム・ショップ通信

【地域(国)】
東アジア(日本、韓国)
東南アジア(インドネシア、ラオス、タイ)
西アジア(シリア、イスラエル)
北アジア(モンゴル)
東アフリカ(エチオピア)

128号 2009年 春

機関誌
「かわらけ」でミルクティーを飲むサラリーマンたち
文/写真・大村次郷

市がたつ雲海の谷
多民族が暮らす雲南省の国境地帯をゆく

西谷 大

中国雲南省の最南端に、人口およそ1000人の者米という町がある。町の南に聳える山を越えればベトナムという国境地帯だ。2003年の3月上旬に棚田と焼畑の生業調査のため、フィールドを探しに、はじめてこの町を訪れた。後でわかるのだがこの地域では6日に一度、町や村で定期市がたつ。そういった予備知識もなく、たまたま市の前日に者米に到着した。

シリーズ 万国喫茶往来
第4回 お茶好きにされた人びと(インド)

文・辛島 昇
写真・大村 次郷

ラコタ・スー族
伝統再生への道程

阿部 珠理

かつて、アメリカ大平原で移動生活を営んでいたラコタ・スー族。一九世紀末より続く保留地での生活の苦難を乗り越えて、民族の再生への道を歩みつつある。彼らはどのようにアメリカ合衆国の「今」を生きているのだろうか。

朝食に暮らしあり15
成長する少女たちの朝
太田 心平

朝メシ前の人類学
フィールドでうまれる対話 第7回
あれってホンモノの銃、ですよね?
文・松田 凡
写真・水井 久貴
絵・中川 洋典

再見細見世界情勢13
民族、階級、ガヴァナンス
フィジーの政治的不安定と2006年クーデタ
丹羽 典生

カメルーンの「商売の民」バミレケ
頼母子講がつむぐ社会

平野 美佐

アフリカ大陸のくびれたところにあるカメルーン共和国は、二〇〇二年サッカーのワールドカップ開催時、大分県中津江村にキャンプを張ったことで、日本でもその名をひろく知られるようになった。しかしそれ以降マスメディアでの情報は途絶え、サッカーが盛んで時間にルーズ、陽気な国民といったイメージからあまり進んでいない。ここでは、筆者が延べ三年暮らしたカメルーンの首都ヤウンデで生きる人びとの暮らしを紹介したい。とくに、カメルーンにおいて商業民として知られる「バミレケ」というエスニック・グループと、彼らが活発におこなう頼母子講について紹介したい。

【地域(国)】
東アジア(中国、韓国)
南アジア(インド)
オセアニア(フィジー)
東アフリカ(エチオピア)
西アフリカ(カメルーン)
北アメリカ(アメリカ)

127号 2009年 新春

機関誌
那智を出て、大雲取越の難路を行く修験者
文/写真・中 淳志

大峯山の修験道
自然とともに生きる信仰の実践

文・鈴木 正崇
写真・中 淳志

国土の七五パーセントを山や丘がしめる日本。 古来山岳は、厳しさとともに親しみを与える存在であり、それらはいつしか、生業の差異をこえた多くの人びとにとって、崇拝の対象となってきた。神道の成立、仏教の流入、そしてそれらの融合と、時代とともに変遷する山岳信仰。

大峯山の峰入りを中心に、日本の基層文化について考える。

トルコのアレヴィー
神への愛を実践する人びと

米山 知子

スポットライトに照らされた舞台。その上では、派手な衣装を着た男女が、トルコ特有の撥弦楽器バーラマの旋律に合わせ、神妙な面持ちで旋回している。 その姿はまるで何者かに取り憑かれたかのようで、観るものを異なる世界へと誘う。 トルコには、アレヴィーと呼ばれる人々がいる。 彼らは、かつて儀礼の中で行われていたセマーと呼ばれる宗教「舞踊」を、自分たちの存在をアピールするために、現在では様々な場で実践している。

長い歴史の間、苦難を乗り越えてきた彼らの、セマーを介して繰り広げられる大都市イスタンブルでの生活をひも解いていく。

シリーズ 万国喫茶往来
第3回 チャーイ 絆のシンボル(イラン)
文・清水 直美
写真・大村 次郷

朝メシ前の人類学
フィールドでうまれる対話 第6回
どうして神を信じないの?って聞かれて……
文・松田 凡
写真・水井 久貴
絵・中川 洋典

再見細見世界情勢12
北アイルランド紛争
和平プロセスが目指すもの
文・森 ありさ

海人万華鏡第14回
海と陸の交差線
living on the crossroads of ocean and land
文・あん・まくどなるど
写真・礒貝 浩

朝食に暮らしあり14
アンデス高地の朝食
八木 百合子

清明節
中国の墓参り

川口 幸大

冬至から105日目、二十四節季のひとつ清明節に、中国の人びとは墓参りにむかう。 おおよそ新暦の4月5日。春の陽気のなか、家族と近しい親族が一同に集まり、おそなえものの食品をかかえて墓のある丘に登るようすは、さながらピクニックといったふうでもある。 変貌いちじるしい中国社会にあって、人びとはどんなふうに墓に参り、祖先を祭祀しているのだろうか。

広州市の郊外に位置するある村の墓参りに注目した。

書架はいざなう
武道の国際化に思う
オリンピックと奉納演武の違いは?
広瀬 浩二郎

本棚 特別編
たゆまぬ梅棹山脈 『梅棹忠夫に挑む』の刊行にちなんで
飯田 卓

国立民族学博物館ミュージアム・ショップ通信

【地域】
東アジア(日本、中国)
西アジア(イラン、トルコ)
東アフリカ(エチオピア)
西ヨーロッパ(アイルランド)
南アメリカ(ペルー)