第70回 民族学研修の旅 友の会発足30周年記念特別企画 サンチャゴ巡礼の道 ─
2007年6月13日(水)~6月26日(火) 13泊14日
11世紀には整備され、年間50万もの人が様々な願いや祈りを胸に歩いたといわれるサンチャゴ巡礼路。1993年に世界遺産に登録されたこともあり、あらためて注目を集めています。
サンチャゴ巡礼路にはいくつかのルートがありますが、今回はその中でも最も美しく魅力的なフランスルートをたどってサンチャゴ・デ・コンポステラの大聖堂をめざします。イバニェタ峠をとおってピレネーを越え、旅の最後には巡礼者が生まれ変わるといわれるフィニステル岬まで足をのばす壮大な旅となります。1,600㎞にも及ぶ行程を旅し、巡礼の道の一部を実際に歩く体験をとおして普段はなかなか気づくことのない自分に向き合えるのではないでしょうか。
途中、サンチャゴ巡礼を何度も自身の足で歩き続けているフランス人巡礼者も同行します。巡礼にかける思いや旅で出会ったことなどいろいろなお話を聞くことができると思います。
第70回 サンチャゴ巡礼の道- 実施報告
「友の会」発足30周年を記念して、第70回民族学研修の旅「サンチャゴ巡礼の道」が15名の方々の参加を得て、2007年6月に実施されました。世界遺産にも登録されているサンチャゴ巡礼路、その中でフランス中南部の都市ル・ピュイからピレネー山脈を越え、スペインの聖地サンチャゴ・デ・コンポステーラ、さらに地の果てフィニステル岬まで約1600キロメートルをいく壮大な旅でした。
参加者の野中貞宏さん・迪子さんから旅の感想をいただきました。
「サンチャゴ巡礼の道」に参加して
今回研修の旅に参加して、興味のあったこと、印象に残ったことをいくつか書いてみたい。 昨今、聖地巡礼は多くの人びとの関心を集め、熊野古道、四国遍路などが賑わっている。
サンチャゴ巡礼も聖年には1000万以上の人が参加するようだが、すでに中世の時代に50万人を超える巡礼者がいたという。当時の人びとが道すがら見たであろう風景がロマネスク建築や彫刻である。これらが今回巡った「ル・ピュイの道」にたくさん残されていることに大いに関心をもった。出発地ル・ピュイのノートルダム大聖堂、サン・ミシェル礼拝堂やコンクのサン・フォア教会堂入口の「最後の審判」図が印象深い。モアサックのサン・ピエール修道院では、中庭の回廊にある列柱の彫刻と建物がもつ雰囲気に圧倒された。そのほか、グレゴリオ聖歌を聞いたサン・ドミンゴ・デ・シロス修道院など数多くの教会や修道院を詳しい解説を聞きながら見学できた。
民博名誉教授の大森康宏先生と特別展「聖地・巡礼」の映像に出演したフランス人巡礼者ミッシェル・ラヴェドリンさんの案内で巡礼路を実際に歩くという経験もできた。ピレネー越えは雨の中、イバニェッタ峠を登った。パンプローナ郊外のベルトン峠の丘陵地を外国人巡礼者に混じって歩いた。ブルゴス郊外では、広大なメセタ平原をつらぬく麦畑とアマポーラの赤い花の咲くまっすぐな道を10キロメートルにわたり貝殻の道標に導かれて歩いた。
最後の「ゴソの丘」からサンチャゴ大聖堂に向かって歩いたことも印象深く、すばらしい体験であった。2週間の研修の旅は内容が濃密で、毎日があっというまに過ぎてしまった。
これから資料や記録写真の整理をしっかりしておきたい。