第75回 民族学研修の旅 ペルー プレ・インカの遺跡と人びとのくらし ─ 15日間

第75回 民族学研修の旅 ペルー プレ・インカの遺跡と人びとのくらし ─ 15日間

2009年10月8日(木)~22日(木) 15日間

アンデスでは、空中都市マチュ・ピチュで有名なインカ文化だけでなく、仮面など黄金製品が大量出土したシパン文化、美しいレリーフや土器で知られるモチェ文化、巨大な地下神殿を残したチャビン文化など多くの文化が、その長い歴史のなかで展開されました。こうしたプレ・インカの遺跡を、日本の学術調査団の一員であった藤井龍彦民博名誉教授とともに訪ねます。

また、アマゾン源流地帯の熱帯林(セルバ)、雪山をいただく山岳(シエラ)、乾燥した海岸地帯(コスタ)という、ペルーに特徴的な自然環境を一度にめぐります。市場や農村では、現在の人びとの普段の生活を垣間見ることもできるでしょう。 アンデスの今と昔、北と南、低地と高地、縦横に駆け抜けながら、その多様な姿を目のあたりにする旅です。


第75回 「ペルー プレ・インカの遺跡と人びとのくらし」-15日間 実施報告

砂漠、高原、6,000メートル級の雪山に熱帯雨林。多様でダイナミックな自然環境の中央アンデス地帯。そこに展開した幾多の古代文明。今回の旅はそれらを一挙に体験するという壮大な旅でした。参加者の感想をご紹介します。

中村千文さん
チンチェロの日曜市で見かけた地元の人たちのカラフルな衣装、その前に並べられた多くの作物。私が見たかったチューニョ(乾燥したじゃがいも)が生のじゃがいもとともに並んで山積みされており、先人たちの保存方法が今も生きていることを実感した。また、一部では今なお物々交換での取引がおこなわれている様子など、人びとの生活を垣間見ることができた。

佐々木都さん
訪れたそれぞれの遺跡に立ち、吹く風に数千年の時を漂っていた気がします。はるかな時に身を置いてみるということを今まで感じたことはなかったのですが、とてもフシギで心地よいものでした。石工の妻であったり、農作業をしながら娘の為にパンを焼いていたりとごく平凡な生活風景のなかにいました。コカを口に含んで?!食の豊かさも驚きの連続でした。


クスコ郊外のチンチェロの市場で


クントゥルワシの博物館にて。おそろいの帽子で見学

第74回 民族学研修の旅 食は全州にあり ─ 韓国の食文化体験

第74回 民族学研修の旅 食は全州にあり ─ 韓国の食文化体験

2009年6月13日(金)~15日(日)

韓国の「食の都」として有名な全州。朝鮮半島西南部に位置する肥沃な穀倉地帯にあり、豊富な海の幸、山の幸にめぐまれた贅沢な料理で知られます。 テーブルからあふれんばかりに器がならぶ韓定食、本場の全州ビピンパプなど全州の味を堪能します。地元の人が集うマッコリタウンでは、大きなヤカンで出されるマッコリ(どぶろく)とたくさんの小皿料理を楽しんでください。

韓国で食の博物館の開館準備にすすめる韓福真(ハンボクチン)先生(昨年まで民博の客員教授)が、全州の食文化についてご案内くださいます。 また、食文化だけでなく、韓国の伝統家屋を復元した韓屋村体験館に宿泊し、伝統的な町並み、市場なども楽しみます。


第74回 食は全州にあり-韓国の食文化体験 実施報告

2泊3日の旅でしたが、もっと長く感じるような旅でした。食の都のお料理はどれも味わい深いものばかり。地元の人びとが愛するマッコリタウンでの食事(宴会?)では、お店の人とも仲良くなり、忘れられない思い出になりました。参加者の感想を紹介します。

先生方の日韓の両文化を比べながらのわかりやすい解説、そして全州の味についてのお話しに深く感銘しました。また、本物の韓国の食文化、歴史に触れることができたことも心にのこっています。南門市場にも自由時間も含めて3回ほど行けました。ナムルにする野草や様々な食材をみることができてよかったです。
平谷敬子さん

講師の方々からの解説、そして「学ぶ」心をもった方々との旅がこんなにもいいものとは・・・。初めての経験でした。これも民博友の会ならではの企画ですね。
三橋明夫さん


韓定食がならぶ食卓。お料理はおかわり自由!


マッコリタウンにて。お店の女将と杯を交わす

第73回 民族学研修の旅 文明の重層地帯、ヨルダンをゆく ─ 遺跡・文化遺産をいかした町づくりと博物館

第73回 民族学研修の旅 文明の重層地帯、ヨルダンをゆく ─ 遺跡・文化遺産をいかした町づくりと博物館

2009年3月20日(金)~3月29日(日) 10日間

文明の重層地帯をゆく  ヨルダンは古代からの歴史の中で文明・文化が重なり合ってきた文明の重層地帯です。世界文化遺産に指定されたペトラなどの遺跡、ギリシア・ローマやビザンチン帝国の時代の遺跡、イスラーム文化やキリスト教文化の歴史的建造物やフレスコ画、モザイク画などさまざまな文化遺産が今なお残っています。今回はこれらの遺跡をくまなく巡ります。さまざまな文明・文化がこの地を去来したことを実感ください。

博物館の役割 ─ 遺跡と町並み保存を考える
近年、ヨルダンでは観光産業の点から、遺跡の保存・研究にあるいは町づくりに果たす博物館の役割が注目されるようになりました。今回の講師、森田恒之先生(民博名誉教授)は、こうしたヨルダン各地の博物館づくりに3年間携わってこられました。博物館をセンターにオスマン・トルコ時代の町並み全体を保存する計画など、現在も進められているプロジェクトの現場を見ます。

現地の博物館との交流
森田先生が携わられたいくつかの博物館で館長や学芸員による解説・案内をうけ、参加の友の会会員との交流の場をもうけます。ヨルダンの学芸員の中には民博で研修を受けた方も複数おられます。

現地の人々の生活を体験
今回は特別に、民博での研修経験をもつ学芸員のご自宅を訪問します。家庭料理とともに国外には出回っていないヨルダン産のワインを楽しみながら、ヨルダンの日常生活を体験します。活気あるスーク(市場)での買い物なども予定しています。  3月のヨルダンは花の咲き乱れる美しい季節。遺跡や歴史だけでなく、ヨルダン独特の自然もお楽しみください。


第73回 文明の重層地帯、ヨルダンをゆく-遺跡・文化遺産をいかした町づくりと博物館 実施報告

8日間かけてヨルダンを北から南まで訪ねました。古代ローマから中世イスラームの遺跡。死海やブラックアイリス、砂漠といった自然。

想像以上にさまざまな文化、文明が重なり合っている様子を体験しました。「行ってみなければ分からない」という言葉がぴったりの国でした。

さらに博物館では、JICAや民博での研修を受けた学芸員から解説を受け、開館準備中の博物館の見学も含め、現在、進行中のプロジェクトの様子などについてもお話いただきました。

また、民博に研修に来られていた学芸員サハルさんのお宅を訪ね、アラブ式のおもてなしを受けるという貴重な体験もしました。


伝統文化博物館学芸員サハルさんのお宅にて
自家製ワインをいただく


ジェラシュ遺跡の広場


ジェラシュのローマ劇場にて独唱を聴く


車窓から探し求めた念願のブラックアイリス

第72回 民族学研修の旅 少数民族の村ですごす ─ ─雲南省 ナシ族・ペー族を訪ねて

第72回 民族学研修の旅 少数民族の村ですごす ─ ─雲南省 ナシ族・ペー族を訪ねて

2008年6月14日(土)~6月21日(土) 8日間

特別展「深奥的中国」の開催と関連した「民族学研修の旅」を開催します。

今回の旅では、中国西南部に暮らす少数民族のなかからナシ族とペー族の村を訪ね、彼らの暮らしに実際にふれていただきます。

訪問するナシ族の村では、人びとの手でトンパ文化を再生する取り組みが今おこなわれています。トンパと呼ばれる宗教職能者のなかでも数少ない高位の「大トンパ」が、実際に儀礼をおこないながら、トンパの知識を伝承していく「トンパ村」が今年開設されます。ここを一般公開前に特別にご案内いただき、彼らの取り組みについてリーダーの方から直接お話をうかがいます。ナシ族の人びとが暮らす村では紙漉の作業を見学するなどゆっくりと過ごしていただきます。

また、ペー族の村・周城では、同行講師の知人宅を訪問します。伝統的な家屋の内側にある中庭など通常の観光コースとはひと味違う、人びとの日常の暮らしを垣間見ることができます。村の廟でおこなわれるお祭りにも参加します。村での時間を過ごしながら、ペー族のくらしの感覚にふれてみましょう。

その他、世界文化遺産に登録された麗江の街並みやシャングリラのチベット寺院なども探訪。オリンピックなどを控え大きく変わりつつある中国において、少数民族の人びとの生活はどのような状況にあるのか。今の暮らしを知るなかで、観光開発と民族文化・伝統文化の保持・継承のあり方についても一考する旅です。


第72回 少数民族の村ですごす-─雲南省 ナシ族・ペー族を訪ねて 実施報告

特別展「深奥的中国-少数民族の暮らしと工芸」でとりあげられた中国少数民族を訪ねる民族学研修の旅を実施。25名の参加者が、雲南省の大理、麗江、シャングリラにてぺー族、ナシ族、チベット族の人びとの暮らしを垣間見ました。


大理ぺー族自治州博物館を講師の解説で見学


湖を船で渡り、ぺー族の定期市へ


市場には工芸品や食料品、日常雑貨、軽食などがならぶ


参加者の平岡美子さんから旅の感想をいただきました。

大理ペー族の村「周城の絞り藍染」を憂う  周城の村役場で書記の方から「周城の絞り藍染が村おこしにつながり、村の経済発展に貢献をし、1994年、2005年全国模範村として表彰されたが、現在は伸び悩んでいる」という話を聞きました。今わが国において、このような伝統工芸は和の見直し、スローライフの提唱のもとに人々の関心がたかまり、また海外の民芸がフェアトレードの名の下に保護されて、その発展に協力の姿勢ができつつあるのに、何故という思いをもちました。

その後、龍泉寺で行われている「単刀赴会」の宗教行事を見学。寺に着いたときお寺の境内に着飾った女性たちが行事のはじまるまで、談笑したり、木綿の布に絞りをしていました。彼女たちの頭飾りは、刺繍や絞り染めで、また絞りに刺繍と手の込んだものがみられました。(写真1)絞りが彼女たちの身を飾ったり、生活の一部であることに、朝、村役場で聞いた話が頭の中にひっかかりましたが、この後の藍染の工房見学に期待を持ちました。

午後、藍染の工房見学で、最初に目に付いたのは藍草である板蘭根(キツネノマゴ科。板藍根とも言う、和名では琉球藍)。庭にあり、その葉を浮かべたお茶でわれわれを歓待してくれました。順に、下絵を布にうつす男性が作業する絵刷り(写真2)、絞り(年配の女性)、木の樽での男性が染めていました。(写真3)干し場と見学の場所の移動もなしに目をずっと動かすだけの距離でした。絞りをしている女性たちの手の動きは早く、雨の中暗い(写真4)半室内でも手の動きは留まることなくこの絞りに携わっている年月を感じました。しかし…染め液も水っぽく、板藍根では泥藍をつくり発酵している状態で染めるのがあたりまえで、こんなしゃぶしゃぶの液ではありません。…これは本物の藍染ではなく合成藍だと思いました。

伝統工芸を生かし、マーケットに答えていくには、手絞り・手染めという手仕事では駄目で、その過程に伝統的な技術・デザインを生かすことにあります。周城の絞り藍染は染める作業に大量生産をめざすために天然藍から合成藍に変わり、また前日、喜州の「巌家」の庭にほしてあった赤・緑・茶・藍の大きな染布(写真5)も同じことだと思います。一度化学染料の簡易さ・使い易さに慣れてしまうと、もう一度伝統的な染め方に戻るのは難しいと思われますが、いいものを創る気持ちを持てば必ずできると思います。

周城の絞り藍染の90%が日本に輸出されているといいます。この絞り染めが日本のどこに売られているのか、この絞り染めにかかわっている人たちは知っているのでしょうか。(中略)村の女性たちの髪飾りの素朴であたたかみのあるデザイン、観光ガイドのベストなど生活の中にあってその美しさがあります。デザインも生活の中から生まれてくるパターンがいい。染め上がりの美しさを大事にしてほしい。周城・大理を訪れる観光客に価格ダウンをして、売り込む姿はこの絞りをしている女性たちにとってよいことではなく、このままいくと後継者つくりが難しくなると思いました。早く軌道修正がおこなわれることを願います。


写真1 周城「単刀赴会」の女性の頭かざり


写真2 藍染 絵刷り


写真3 藍染 染め


写真4 絞り作業


写真5 喜州の「巌家」で見た染布

撮影:平岡 清さん

第71回 民族学研修の旅 友の会発足30周年記念特別企画 日本密教のふるさと ─ ─空海・最澄の足跡をたどる 8日間

第71回 民族学研修の旅 友の会発足30周年記念特別企画 日本密教のふるさと ─ ─空海・最澄の足跡をたどる

2007年8月3日(金)~8月10日(金) 8日間

密教の奥義を求め、唐へ渡った空海・最澄。空海が学んだ大興善寺、恵果法師に弟子入りし、密教を伝習した青龍寺。最澄が学んだ天台山の総本山・国清寺。空海・最澄が学んだ中国密教の史跡を訪ねます。

そのほか、中国一の古刹 白馬寺、浄土宗発祥の地である香積寺、世界遺産にも登録されている龍門石窟、中国四大仏教名山のひとつ普陀山など中国仏教ゆかりの地も訪ねます。


第71回 日本密教のふるさと-─空海・最澄の足跡をたどる 実施報告

「友の会」発足30周年を記念して、今回は22名の参加者とともに、空海、最澄たちが学んだ中国の寺院を訪ねました。