第60回体験セミナー 〈定員に達しました〉  シリーズ巡礼(5)みちのくの祈り ─ 浄土からオシラサマ、宮沢賢治まで

第60回体験セミナー 〈定員に達しました〉 
シリーズ巡礼(5)みちのくの祈り ─ 浄土からオシラサマ、宮沢賢治まで

2010年5月4日~5月6日

みちのくの文化や信仰を知る上でスタートとなるのが奥州藤原氏。その歴史を丁寧に読み解きながら、みちのくの祈りの世界をめぐります。

今回の見どころのひとつは5月4日におこなわれる神事能と奇祭「哭き祭り」。小さなお祭りながら、どちらも信仰の原点が感じられるお祭りです。そのほか「遠野物語」にも描かれたオシラサマや宮沢賢治が文学作品をとおして表現しようとした世界まで、神と仏、そして自然が渾然一体となって形づくられたみちのくの信仰について学びます。

<訪問先>
中尊寺、毛越寺、観自在王院、正法寺、黒石寺、天台寺、成島毘沙門堂、遠野伝承園、宮沢賢治記念館ほか


第60回 シリーズ巡礼(5) みちのくの祈り-浄土からオシラサマ、宮沢賢治まで 実施報告

友の会創設以来の会員でもある大矢邦宣先生(平泉文化遺産センター館長、盛岡大学教授)のご案内で、平泉から北の天台寺まで桜吹雪の中、岩手を縦断しました。「岩手を好きにならないうちは岩手から帰しません」という大矢先生の言葉とウィットも交えた熱心な解説によって、みなさん、すっかり岩手の魅力の虜になってしまいました。まだまだ知られざる見所がありそうでした。

参加者の感想をご紹介します。

丹治進さん
「友の会」のセミナーへの参加は初めてでした。今回は特に観自在王院の「哭き祭り」と天台寺の観音様をはじめとする仏像が印象深かったです。「哭き祭り」は規模が小さいこともあり、観光イベント化されておらず、私の求めているお祭りのイメージにあう洗練されていないかわりに、まさに土着のお姿、土地の人びとの信仰心が直接伝わってきて感動的でした。

南條憲二さん
初日は1時間ほど早く平泉に着いたので、得をしたことがあります。平泉駅前の広場では「鹿踊り」を、また毛越寺の境内では女子中学生による華やかな「毘沙門神楽」を見ることができたのです。これらは、白山神社での「御神事能」や観自在王院の「哭き祭り」、かつて東京公演で観た毛越寺の「延年の舞」や「早池峰神楽(岳神楽・大償神楽)」などとともに、みちのくの祭事・儀礼の奥の深さを偲ばせるものでした。 無量光院の池では、アンコール遺跡の王の沐浴場スラ・スランや、スリランカのアヌラーダプラからシギリヤにかけて幾つかある巨大貯水場を思い出しました。金鶏山の彼方に沈む夕日が水面に映る光景を前にして、しばし至福の刻を過ごしました。


無量光院の池の跡(調査のために水がはられていました)
金鶏山に沈む夕日と桜吹雪をながめながら対岸へ渡っているところ


観自在王院にて野ざらしの仏像についての解説をうけているところ


日本一の茅葺き屋根の正法寺にて。
ご住職から説明をうかがいました

第59回体験セミナー 京都町家にくらす ─

第59回体験セミナー 京都町家にくらす ─

2010年3月13日(土)10:00~14:30

「おばんざい」をはじめ、京都の町中のくらしぶりを紹介した大村しげ。生活の記録者という自覚のもとに書かれた数多くのエッセイは、没後10年を経た今でも読み継がれ、「後の研究のために」のこされた生活道具一式は民博に寄贈されています。

京都の町中のくらしに受け継がれてきた「しまつ」をつける生き方を、京町家の杉本家住宅を訪ね、体験します。杉本家住宅は江戸から明治にかけての家屋や生活道具がよく保存されていることから京都市の有形文化財にも指定されています。

じっさいに文化財に暮らしながら町家文化を伝えるという活動についてもお聞きします。

<プログラム>
講演と杉本家邸内の説明「町家のくらし ─ 商人の精神息づく暮らし ─」
杉本歌子:(財)奈良屋記念杉本家保存会 学芸員・古文書調査主任

昼食 おばんざい


料理・解説 杉本節子:(財)奈良屋記念杉本家保存会事務局長、料理研究家

講演「記録者としての大村しげ ─ 「しまつ」の思想が語るもの」
横川公子:武庫川女子大学教授


第59回 京都町家にくらす- 実施報告

京町家、杉本家住宅にて開催したセミナーは、奈良屋記念杉本家保存会の学芸員杉本歌子さんによる邸内の解説から始まりました。部屋のしつらいひとつをとっても引き算の考えでシンプルにつくられており、季節や慶弔などを問わず臨機応変に対応できる工夫が凝らされているというお話しが印象的でした。

昼食におばんざいをいただいたあと、武庫川女子大学の横川公子先生に大村しげさんの生き方や思想を紹介していただきました。大村さんの「しまつ」の考え方や杉本さんの日々の暮らしから、京都という都市で培われた生活の伝統が、現代の私たちの生活にも何かヒントを与えてくれるという魅力をあらためて感じました。

参加者からの感想を紹介します。

佐野滋さん
伝統的な京の町家は、一言で言えば日々のくらしの総合芸術である、京都の町衆はそれを創出する“文化力”を何世紀にもわたってもちつづけて来たことを実感しました。

常田泰典さん
京都というと古いものを残すというように考えられがちですが、伝統を伝えるだけでなくその時々に応じて柔軟に対応し、新しいものも取り入れる進取の精神があるとよく言われます。杉本家の方々の活動にもその精神が生きていることを感じました。


大きな襖をスクリーンにして講義を聴きました


昼食にいただいたおばんざいの一部

第57回体験セミナー 「坂の上の雲」をたどる ─ ミュージアムにみる松山のひととまち

第57回体験セミナー 「坂の上の雲」をたどる ─ ミュージアムにみる松山のひととまち

開催日時:2008年11月15日(土)~16日(日)1泊2日

四国・松山を舞台のひとつに、作家・司馬遼太郎が書き上げた小説『坂の上の雲』。  「坂の上の雲ミュージアム」は、この作品を基に2007年開館、同地出身で司馬遼太郎氏とも親交の深かった松原 正毅 民博名誉教授が館長をつとめておられます。ゆかりの地につくられたミュージアムにつどい、小説に描かれた人びとを育くんだ松山の風土を実地で感じていただくセミナーです。

当日は、展示見学のほか、同館を中核施設として松山のまち全体を屋根のないひとつの博物館とするフィールドミュージアム構想について松原館長から講演いただきます。この構想は、市内に点在している小説ゆかりの史跡や、道後温泉など地域固有の文化資源をつなぐものです。松原館長とともに小説の主人公たちの足跡をたどり、道後温泉の宿泊施設では懇談会をおこないます。

近代国家形成期の日本を描いた作品に耳をかたむけ、時代の流れをみつめながら松原館長と「語り合う」場にぜひご参加ください。


第57回 「坂の上の雲」をたどる-ミュージアムにみる松山のひととまち 実施報告

松原正毅民博名誉教授が館長をつとめられる「坂の上の雲ミュージアム」を会員21名で訪問。

松山を屋根のない博物館とするフィールドミュージアム構想の中核である博物館の役割について、また司馬遼太郎氏の作品形成にかかわる知られざる側面について、松原館長にご講演いただきました。

また、四国88霊場第51番札所の石手寺や『坂の上の雲』主人公の正岡子規や秋山兄弟たちが松山から出立した地・三津浜などを訪問しました。  三津浜では郷土料理「鯛めし」をいただきながら旧商家に伝わる資料を拝見し、ご主人からお話をうかがいました。

第56回体験セミナー シリーズ「巡礼(3)」「国東・神と仏のかくれ郷を訪ねる-宇佐神宮、六郷満山」 ─

第56回体験セミナー シリーズ「巡礼(3)」「国東・神と仏のかくれ郷を訪ねる-宇佐神宮、六郷満山」 ─

2008年9月19日(金)~21日(日) 2泊3日

六郷満山は国東半島の中央に位置する長安寺・両子寺を中心に発展した山岳仏教が花開いた地です。 八幡大菩薩の応化といわれる仁聞菩薩が、国東半島の山々を修験の霊場として開いたという伝承も残されており、宇佐神宮とも密接なつながりをもち、神仏習合文化の発祥の地ともされています。

宇佐から国東にかけての地方神でありながら全国各地にまつられている八幡神信仰や六郷満山文化をとおして人々の神や仏への信仰に想いをめぐらせましょう。

第58回体験セミナー シリーズ巡礼(4) 修験の山・立山登拝への道 ─

第58回体験セミナー シリーズ巡礼(4) 修験の山・立山登拝への道 ─

2009年8月29日(土)~31日(月)2泊3日

古くから霊山として全国に名を知られていた立山。険しい山中には、ありとあらゆる地獄に見立てられた場所と同時に、観音様が現れる岩屋などがあり、地獄と極楽が一度に体験できる救済空間でした。

ほかの霊山同様、禅定登山は女人禁制でしたが、女性には山麓の芦峅寺で極楽往生を擬似的に体験する「布橋灌頂会」という儀式がおこなわれていました。今回は立山博物館を出発点にして、立山信仰の中心となっていたお寺や、マンダラを立体で表現した施設などを訪ねます。

2~3日目には山中の修行の場や立山信仰に関連する場所を訪ね、その一部を歩きます。夏の立山は植物の美しい季節。ブナ林や高山植物の観察もあわせて楽しみます。

※標高2000メートル台にある遊歩道を歩きます。軽登山の装備をご用意ください。見学中の荷物は基本的にご自身でお持ちいただきます。


第58回 シリーズ巡礼(4) 修験の山・立山登拝への道- 実施報告

険しい山と豊かな自然ののこる立山。厳しい自然環境を地獄や極楽にみたてた人びとの気持ちが伝わってくるようでした。 お天気にも恵まれ、信仰についてだけでなく、高山植物など自然観察などさまざまな角度からたのしむことができた3日間でした。
参加者の感想を紹介します。

立山信仰は、遙かむかしの縄文時代へも遡り得ることを知って、なんだか嬉しくなりました。縄文につながる話はなんでも大好きです。<南條憲二さん>

「立山信仰」の世界も「浄土と地獄」を表現した立山曼荼羅の絵解きにより江戸時代から続く衆徒たちの信仰の深さ、より善く生きる尊さが歴史になっているのを感じさせられました。<赤穂敞也さん>