【終了】第81回 琵琶湖と生きる―刺し網漁とモンドリ漁

モンドリ漁の様子(提供・びわ湖高島観光協会)

演題
琵琶湖と生きる―刺し網漁とモンドリ漁

内容
 日本最大の湖、琵琶湖。琵琶湖は400万年の歴史があり、岩礁、砂浜、内湖※、そして沖合には水深100mほどの場所など多様な環境を持っています。また、その環境に適応した多くの生物が生息し、60種を超える固有種、1700種以上の水生動植物の生息が確認されています。
 人びとが琵琶湖とともに暮らし始めた歴史は古く、約1万年前には琵琶湖周辺域で生活していたといわれています。縄文時代の遺跡である石山貝塚(現在の石山寺付近)からはセタシジミの貝殻やフナなどの魚類の骨に交じり、魚の骨で作った釣り針や石錘など、漁をしていたことがうかがえる道具が出土しています。それ以降、琵琶湖の多様な環境、生き物にあわせた数多く漁法が編み出され、独自の発展を遂げました。琵琶湖の漁師たちは、魚の習性をうまく利用しながら、湖という限られた漁場で資源を守りつつ漁を続けてきました。
 第81回体験セミナーでは、琵琶湖とともに生きるために培ってきた知恵や技術、そして琵琶湖の恵みも感じる旅です。みなさまぜひご参加ください。
※水路を通じて琵琶湖とつながる内陸の水域


【旅行の行程】
◆5月11日(土)
 集合:琵琶湖博物館エントランス(13時頃)
 ■琵琶湖博物館
 ・琵琶湖博物館概要説明(講師:滋賀県立琵琶湖博物館館長 篠原 徹)
  琵琶湖博物館のコンセプトやリニューアル後の見どころについて
  お話いただきます。
 ・レクチャー「琵琶湖の漁業」
 (講師:滋賀県立琵琶湖博物館館長 篠原 徹)
  漁の特徴や、環境・歴史的背景について理解を深めます。
 ・展示場見学(講師:滋賀県立琵琶湖博物館館長 篠原 徹)
  琵琶湖の生き物と人との関わりを紹介している水族展示室を中心に、
  篠原館長の解説付きでご案内いただきます。
   ・収蔵庫見学(講師:琵琶湖博物館学芸技師 渡部 圭一)
    2018年に有形民俗文化財に登録された漁撈用具と船大工用具を収蔵庫で
    見学します。

 ■夕食(酒と肴「おはな」:近江八幡市)
  沖島出身(琵琶湖に浮かぶ有人島)のご夫婦が営まれている「おはな」
  で、
滋賀県選択無形民俗文化財にも登録されている鮒ずしなど湖魚料理
  をいた
だきます。夕食には篠原先生、渡部先生、卯田先生にもご同席
  ただきます。

 ■ホテル琵琶湖プラザにて宿泊。

◆5月12日(日)
 ■針江漁港
   針江漁港から出港する漁船に同乗し刺し網漁を体験します。数名の方に
  漁師さんと一緒に網を あげていただきます。その後、琵琶湖から川に入り、
    モンドリ漁を体験します。
  〈持ち物/雨具・濡れても良い靴・替えの靴など 。〉
 ※荒天の場合は、漁師の方のお宅で、お話をうかがいます。
  また、漁の準備をする作業場を見学させていただきます。

  ■昼食
 漁船から直接漁師の方のお宅に上陸。刺し網から魚をはずし捕れたコアユを
 天ぷらに。また、あら汁(ビワマスのあら)や湖魚の佃煮をなど琵琶湖の味
 を存分に楽しみます。

 ■川魚店「近江今津西友 辻川店」
 前日に訪問する琵琶湖博物館の展示のモデルになった湖魚・川魚を扱うお店を
 訪問し、琵琶湖の伝統食の魅力についてお話いただきます。


講師
篠原 徹(滋賀県立琵琶湖博物館館長)
渡部 圭一(滋賀県立琵琶湖博物館学芸技師)
卯田 宗平(国立民族学博物館准教授)

協力
滋賀県立琵琶湖博物館

日程
2019年5月11日(土)〜12日(日)

 

 

【終了】第80回 長崎県、潜伏キリシタンの足跡を訪ねるー生月島、平戸島、上五島をめぐる

演題
長崎県、潜伏キリシタンの足跡を訪ねるー生月島、平戸島、上五島をめぐる

生月島/カクレの最高役職者川﨑家に祀られる諸祭壇。左からお大師様、仏壇、カクレ、神棚(提供・宮崎賢太郎)

内容
 16世紀、アジアに進出したポルトガルは、貿易の拡大とキリスト教の布教を目的に日本にやってきました。イエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルは1549年に鹿児島に上陸、翌年には平戸に赴き、領主・松浦隆信より宣教の許しを得ました。ザビエルが日本を去ったのちも、西九州を中心に信者の数は急速に増大していきます。
 一方で為政者は、宣教師らの影響力と信者たちの強い結束力に、次第に警戒を強めました。豊臣秀吉の伴天連(宣教師)追放令、さらに厳しい徳川政権の禁教政策を経て明治6年に禁教令が解かれるまで、二百数十年にもおよぶ潜伏の時代を迎えます。長い潜伏時代における彼らの信仰の実像とは一体どのようなものだったのでしょうか。
 現在、長崎県内の各所で見られるカトリック教会の多くは、禁教が解かれて以降、カトリックに復帰した信者らが建築したものです。一方で、信仰の自由が認められたのちもカトリックに戻らず、潜伏時代の信仰のあり方を継続した「カクレキリシタン」とよばれる人びとも存在します。彼らが伝えてきた組織、行事、神様、オラショ(祈り)には、外来のキリスト教文化の影響が見て取れますが、その信仰は祖先崇拝を土台とし、神道や仏教とともに信仰する独自に展開した民俗宗教でした。現在、彼らはもちろん身を隠すことなく暮らしていますが、時代とともに地域共同体のあり方が様変わりし、急速な組織の解体に直面しています。
 第80回体験セミナーでは「世界遺産」だけでは知ることのできない、潜伏キリシタンの足跡とその真実をさぐります。みなさん、ぜひご参加ください。

「御前様」とよばれるカクレキリシタンのご神体の掛け軸。受胎告知の場面(提供・宮崎賢太郎)

【行程(訪問先)】
■2019年2月22日(金)
◎集合
①長崎空港(10時)
②佐世保ワシントンホテル(11時)
・田平教会
・カクレの神様を祀る個人宅と解散した集団の御堂を拝見しオラショを唱えてもらいます
・平戸市生月島町博物館 島の館
・ガスパル様の祠
・中江ノ島、春日集落(車窓見学)
○平戸海上ホテル泊

■2月23日(土)
・平戸市ザビエル記念教会(外観見学)と寺院が重なる風景を散策
・松浦史料博物館
・紐差教会
・根獅子地区(平戸市切支丹資料館、オロクニン様の祠、根獅子浜の昇天石)
○ホテルマリンピア泊(レクチャー1「現代のカクレキリシタン信仰」)

■2月24日(日)
・無人島である野崎島(旧野首教会、キリシタン集落跡)
・青砂ケ浦教会
・大曾教会
・中ノ浦教会
○民宿えび屋泊(レクチャー2「潜伏キリシタンは何を信じていたのか」)

■2月25日(月)
・山の神神社
・桐教会
・頭ケ島教会(教会、キリシタン墓地)
◎解散
①有川港(14時)
②長崎駅(16時10分)
③長崎空港(17時)

講師
宮崎 賢太郎(長崎純心大学客員教授)

日程
2019年2月22日(金)〜25日(月)【4日間

申込締切
2019年1月11日(金)

募集人数
23名(最少催行人数15名)※申込先着順

参加費
134,000円(行程中の移動費、食費、宿泊[相部屋]、見学費を含む)

注意事項
・宿泊条件:2名1室、食事回数:朝3/昼4/夜3(左記以外の宿泊希望がある方はご相談ください)
・気候条件等、行程は諸事情により変更する場合があります。あらかじめご了承ください。
・正会員もしくは体験会員にご登録いただくことで、一般の方もご参加いただけます。

申込方法
◎お問い合わせ・お申し込みについて
お電話にて友の会、阪急交通社までお問い合わせください。申込締切日
2019/1/11)を目安に、参加手続き書類・パンフレットをお送りします。友の会会員以外の方は、正会員、もしくは体験会員にご登録ください。なお、正会員同伴の方は1名に限り、会員登録なくご参加いただけます。詳しくは国立民族学博物館友の会までお問い合わせください。

・研修企画
一般財団法人 千里文化財団「国立民族学博物館友の会」係
TEL:06-6877-8893 ※受付時間:平日9:0017:00

・旅行企画・実施
株式会社阪急交通社 団体営業部大阪団体支店営業2
観光庁長官登録登録旅行業 第1847号観光庁長官登録登録旅行業 第1847号
TEL:06-4795-5928 ※受付時間:平日10:00〜17:30

第79回 富士山―信仰の世界

演題
第79回 富士山―信仰の世界

内容
 富士山は古くより、災害をもたらすことから人びとから恐れられ、山岳信仰の対象とされてきました。遠く離れた場所から仰ぎ見て拝む「遙拝」から始まり、14世紀以降、一般にも富士山を信仰する富士道者があらわれ、極楽浄土への願いを込め「登拝」するようになりました。この頃、彼らの信仰の案内や世話をする「御師(おし)」の文化もさかえます。17世紀には、長谷川角行を開祖とする富士講がひろまり、山腹や山麓の巡礼地をめぐる「巡拝」が始まりました。
 本セミナーでは、今もなお多くの人びとを惹きつける富士山の魅力と富士山信仰の世界を探ります。 

講師
秋道 智彌
(山梨県立富士山世界遺産センター所長、国立民族学博物館名誉教授)

日程
8月26日(日)、8月27日(月) 

スケジュール
【1日目(8/26)】
集合 JR三島駅(12時)
山梨県立富士山世界遺産センター/
船津胎内樹型、
吉田の火祭り(国指定重要無形民俗文化財)※希望者のみ
【2日目(8/27)】
御師町(旧外川家住宅)/北口本宮富士浅間神社/東円寺(忍野村)/忍野八海
JR三島駅(1730分頃 )

募集人数
25名(最少実施人数20名)※申込先着順

参加費
38,000円
(行程内の宿泊[41室相部屋※1]・食事[朝・昼・夕食各1回※2]・見学
費用・移動費用・保険代含む)
※ 一般の方も、正会員もしくは体験会員にご登録いただくことでご参加いただ
        けます。
※1 お部屋のご希望がある方はご相談ください。
         11室利用の場合は追加料金5,400円/人
         21室利用の場合は追加料金4,320円/人が必要
        ただし、お部屋に限りがあるため、ご希望に添えない場合がございま
※2 1日目の昼食は召し上がってからのご参加をお願いします。

山中湖畔の展望場所から見た冬の富士山(撮影:秋道智彌)

申込方法
友の会事務局までお申し込みください。
※申込締切:2018年7月20日(金)

第78回 世界の製藍、日本の藍染めー気候と風土に育まれた色、藍を知る

演題
世界の製藍、日本の藍染めー気候と風土に育まれた色、藍を知る    

乾燥させた蓼藍の葉を「蒅の室」の床に積み上げて、水を打って繊維発酵させ、発酵温度にあわせて「切り返し」と「水打ち」を繰り返す(提供・井関和代)

内容
 藍植物とは、藍色の成分をもつ植物の総称で、世界各地に100種以上あることが知られています。藍は生葉でも染めることができますが、それでは作業が植物の生育シーズンに限られ、また濃い青色に染めることができません。そこで人びとは、藍を染料化して貯蔵できる状態にする製藍の技術を見出しました。乾藍や玉藍、沈殿藍など民族独自のさまざまな製藍技術が各地で生まれました。これには、日本固有の藍染料「蒅」も含まれます。本セミナーでは、世界各地の製藍・染色技術とともに、日本固有の藍染めを体験的に知ることで、藍の面白さ、「染める」という行為の奥深さについて理解を深めます。
 見学先となる紺九は、明治3年創業の紺屋(藍染屋)です。かつて日本各地にあった紺屋では、阿波産の藍を取り寄せるのが普通でしたが、栽培、蒅つくり、染めを一貫しておこなうのが紺九の藍染め。桂離宮の襖紙の染色など、文化財の修復にも携わっておられる4代目の義男さんは、国の選定技術保存保持者でもあります。自家製の藍で染色体験をさせていただくほか、藍と向き合う日々のお仕事、文化財修復についてのお話などもうかがいます。

トーゴ・ミナの製藍作業。藍藤(ヨルバ・インディゴ)の幼葉をつき、丸めて乾燥して保存(提供・井関和代)

【実施プログラム】
■レクチャー
「藍染めとはー世界各地の製藍事例を踏まえて」(講師:井関和代)
100を超える藍有植物でなされる藍染めは、その製藍技術も、染色技術も、地域・民族によってさまざまです。各地の事例とともに、藍染めについて理解を深めます。

■現場見学
栽培から染色までを一貫しておこなう紺九の藍染め。藍畑、蒅の室、染め場を見学し、日本の藍染めについて理解を深めます。

■染色体験
紺九では化学薬品を使わず、蒅と灰汁だけを用いて藍染液をつくります。染め場をお借りしてスカーフを染めます。染色した布はお持ち帰りいただきます。

この染め場で染色体験をさせていただく(提供・井関和代)

■資料閲覧① 紺九の藍染め
紺九は文化財の修復作業にも携わっています。染め糸や布、紙などの染色資料を、解説を交えて見せていただきます。

■資料閲覧② 世界の藍染め(解説:井関和代)
東南アジアやアフリカなど、講師が各地で収集した染色資料を見せていただきます。絞り染めやろうけつ染めなど、染色技術の面白さにも注目します。

マリ・ボゾの藍建て作業。灰汁を入れた壺に玉藍をほぐして投入。発酵を待つ(提供・井関和代)

※紺九の染色品の販売もおこないます。

【注意事項】
・汚れてもよい服装、靴でご参加ください。スニーカーなど、靴底の平坦な動きやすい靴でお願いします。薄手のゴム手袋もご用意ください。
・レクチャー、資料閲覧、昼食は紺九・森さんのご自宅の和室を利用させていただきます。昼食はお弁当です。

講師
井関 和代(大阪芸術大学名誉教授)
協力
森 義男、森 芳範(紺九)

日時
①2018年5月26日(土) 
②2018年5月27日(日)

10時30分~17時00分 ※集合場所:JR野洲駅(10時)

場所
紺九[滋賀県野洲市小篠原1603]

募集人数
20名(最少実施人数15名)※申込先着順

参加費
友の会会員:13,500円 一般:15,500円

申込方法
友の会事務局までお申し込みください。※申込締切:2018年4月27日(金)

第77回 植物から博物学の世界を知る――東京大学総合研究博物館見学

演題
第77回 植物から博物学の世界を知る―東京大学総合研究博物館見学

内容

シーボルトが採集したクリの標本(撮影・池田博)

 幕末に来日したシーボルトは、日本の植物に魅せられただけでなく、江戸時代の本草学者による植物の理解や描写にも感銘を受けたといわれています。
 本草学は、本来は薬として役立つ植物などを研究する学問です。日本では江戸時代に中国から移入された『本草綱目』が刺激となり活発化します。しかし、初めは文献から薬草についての知識を学ぶことが主で、実際に植物を観察することはほとんどしませんでした。しかし、1708年に貝原益軒が『大和本草』を出版した頃から、自ら野山を歩き植物を観察するようになり、来日したシーボルトらの影響などを受け、薬草以外の植物にも目を向ける植物学へと移行していきました。
 本セミナーでは、私たちには馴染みの薄い本草学が植物学にどのような影響をもたらしたのか、また本草学からは身近な植物と人との関わりについて考えます。講義に加え、標本室および東京大学総合研究博物館の常設展示室も見学します。

【実施プログラム】
■レクチャー本草学とその日本での歩み(講師:大場 秀章)
 シーボルトが興味を持った本草学とはどのようなものなのか。また本草学が
 植物学にどのように引き継がれているのか。そして、江戸時代の人と植物と
 の関わり方から、人と植物との共生を考えます。
■標本室(ハーバリウム)見学(講師:池田 博)
 東京大学植物標本室 (TI) には、およそ170万点の標本が収蔵されています。
 その中から、オランダから寄贈されたシーボルト関連の標本コレクション、
 新種を発表するときに使われたタイプ標本など、普段は目にすることのでき
 ない標本を見学します。
■標本整理作業見学
 植物標本ができ上がるまでには、採集→乾燥→ラベル作成→貼り付け→配架
 と、さまざまな工程があります。標本がつくられ、標本室に配架されるまで
 の過程について、現場をめぐりながら紹介します。また、標本のデジタ化・
 データベース化についても紹介します。
■常設展示室の見学
 東京大学総合研究博物館は、20165月に常設展示場をリニューアルし、
 「UMUT オープンラボ -太陽系から人類へ」としてオープンしました。
 東京大学が持つ膨大な資料を使い、現場に立つ研究者がどのように標本と
 接し、それらと「格闘」しているのかを、「研究現場展示」というコンセプ
 トを掲げ示そうというものです。

講師
大場 秀章(東京大学総合研究博物館特招研究員、東京大学名誉教授)
池田 博 (東京大学総合研究博物館准教授)

日時
2月24日(土) 
13時00分~17時00分

場所
東京大学総合研究博物館[〒113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1

募集人数
30名(最少実施人数20名)※申込先着順

参加費
友の会会員:2,000円 一般:2,500円

申込方法
友の会事務局までお申し込みください。※申込締切:2018年2月9日(金)