第61回体験セミナー コタンを訪ねる ─ 白老・二風谷・静内

第61回体験セミナー コタンを訪ねる ─ 白老・二風谷・静内

2010年9月24日(金)~26日(日)2泊3日

白老、二風谷、静内など北海道南部のアイヌ文化に関わりの深い地域を訪ねます。北海道南部は、比較的大きなアイヌのコタン(集落)が存在したこともあり、アイヌの伝統文化継承の中心地です。

なかでも最終日に訪問する沙流郡平取町二風谷には、アイヌ民族に関わる遺跡、史跡、伝説などが多くのこされ、現在ではイオル(漁猟の場)の再生事業が進められています。そうした沙流川流域を散策し、萱野茂さんのコレクションを展示する資料館などを見学します。資料館は多くの文化財があるだけでなく、地域別のアイヌ衣装の展示や海外の民族資料と比較しながら見学できる点も見どころです。

また、蝦夷三官寺のひとつである有珠善光寺に伝わるアイヌ語訳を併記した念仏の版木(重要文化財)なども特別に見せていただき、アイヌと和人(日本語を話す人)の歴史について考えてみます。 9月末は鮭の遡上シーズンですが、アイヌの人びとにとっては新しい鮭(アシリチェップ)を迎える大切な季節です。二風谷では特別にポロチセ(伝統的家屋)の中で鮭や秋の食材を用いたアイヌの伝統的なお料理をいただきます。

1日目 9/24(金)
松前藩との歴史について学ぶ 支笏湖にて昼食後、蝦夷三官寺のひとつ有珠善光寺拝観、伊達市噴火湾文化研究所見学

2日目 9/25(土)
白老アイヌ民族博物館へ 白老陣屋、アイヌ民族博物館見学後、アイヌの伝統料理の昼食、シャクシャイン記念館(静内)見学

3日目 9/26(日)
萱野茂さんの暮らした二風谷へ 平取町立アイヌ文化博物館、萱野茂二風谷アイヌ資料館見学後、ポロチセ内でアイヌの伝統料理の昼食、平取ダムや沙流川流域の散策


第61回 コタンを訪ねる-白老・二風谷・静内 実施報告

初秋の道南でのセミナーはお天気にも恵まれ、鮭の遡上も見ることができました。講師の佐々木利和先生の「『研究』とかいうことではなく、できるだけ多くのアイヌの方々と話したりふれあってください」という言葉が印象的であったという参加者の多賀俊介さんの感想のとおり、訪問先ではさまざまな方からお話をうかがったり、伝統食をご用意いただくなど、大変貴重な体験ができました。

感想を紹介します。

わたしにとって今回の旅は、従来の断片的で中途半端な知識を一掃するところから始まった。佐々木先生の誘導でまずゆっくりと「物」の展示を見た後で話を聞くということを繰り返した事がまことに有効でありました。アイヌの人々が衣食を得た土地の感じを把み得た(もちろんわずかなものにすぎないだろうけれど、数百数千年の時の流れに比らぶれば・・)。でも、当地に拡がり生を営んだ数多の人々の、来し方行く末を相当に想起出来たように思います。佐々木先生によるアイヌ語読解がそれを促してくれました。幼時の、上下水道無し 停電あり 道に馬糞あり 薪割りあり・・・・・の自分の体験が、人々の生活感覚と”自然崇拝”に共鳴する助けにもなりました。
(N.S.さん)

松本勝博さんは句を寄せてくださいました。 夕空は七色八色鮭跳ねる 夕焼けの縄文の丘独り座す 北の大地の大自然の中で暮らしてきたアイヌの人びとの畏敬、調和、共生といった自然に対するかかわり方は、環境や資源の問題をはじめ、今日の世界が直面するさまざまな難問を解決してゆく上で教えられる点が少なくないことを実感しました。
(佐野滋さん)

アイヌ文化について学ぶというテーマでしたが、有珠噴火湾文化研究所では縄文時代貝塚の発掘現場(6000年前)や円空仏まで見せていただくなど数々のサプライズもありました。お世話になったみなさま、本当にありがとうございました。


白老のアイヌ民族博物館にて記念撮影


白老のアイヌ民族博物館にて解説を聞きながら見学


夕焼けの北黄金貝塚(発掘中の縄文遺跡も見せていただきました)


二風谷のチセ内でアイヌの伝統料理の昼食をいただく

第386回 企画展「歴史と文化を救う」関連 被災した文化財が語りかける歴史と文化の記憶

演題
企画展「歴史と文化を救う」関連
被災した文化財が語りかける歴史と文化の記憶

内容
文化財の保存・修復活動とは単に「壊れたものを直す」ということにとどまりません。活動を通して「過去の人びとの生活の記憶が刻まれた歴史の証拠品」から新しい発見に出会うこともあります。いかにこの財産を次世代に継承する事ができるか、被災文化財の保存・修復活動の視点から解説します。

※講演会終了後、見学会(1時間程)をおこないます。当日、講演会受付にてお申し込みください。

講師
日高 真吾(国立民族学博物館准教授)

日時
2010年8月7日(土) 14時~15時

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第385回 日本に暮らす外国人の今 特別展「多みんぞくニホン」その後

演題
日本に暮らす外国人の今 特別展「多みんぞくニホン」その後

内容
日本の外国人登録者数は2005年に200万人を超え、その後も増え続けています。外国人スポーツ選手やテレビタレントの活躍、エスニックレストランや国際結婚の増加などもあり、日常生活において外国人に接することもめずらしいことではなくなっています。彼らは日本社会の中でどのように暮らしているのでしょうか。

※講演会終了後、講師との懇談会をおこないます。(1時間程)講演内容などの質疑応答や会員同士の交流の時間にもなっています。ぜひご参加ください。

講師
庄司 博史(国立民族学博物館教授)

日時
2010年7月3日(土) 14時~15時30分

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第94回 【人間文化研究機構連携展示「チベット ポン教の神がみ」関連】 チベット ポン教とは何か

演題
【人間文化研究機構連携展示「チベット ポン教の神がみ」関連】
チベット ポン教とは何か

内容
ポン教は、仏教伝来以前からチベット文化域に広く分布している宗教で、チベット精神文化の基層を形成しています。ポン教の歴史や仏教との関連、現代におけるポン教の実態とポン教研究の意義についてお話しします。

※講演会終了後、懇談会と展示解説をおこないます。(会員限定)

講師
長野 泰彦(国立民族学博物館教授)

日時
2010年7月19日(月・祝) 14時~15時15分

場所
国文学研究資料館大会議室

定員
200名(申込先着順)

備考
■友の会会員と同伴者:無料、一般:500円