第85回 民族学研修の旅 手仕事への回帰 ─ カンボジア、東北タイの機織りの現場をめぐる

第85回 民族学研修の旅 手仕事への回帰 ─ カンボジア、東北タイの機織りの現場をめぐる

2015/02/01~02/09

衣類をはじめ、人間生活に欠くことのできない「織り」。その技術は有史以前より広範な地域で受け継がれてきました。作業を効率よくするために多様な織機が生まれ、大量生産をも可能にする一方で、それ以前より続く手仕事の織りの作業には衰退著しいものがありました。しかし、一部の地域では、そうした手仕事を今でも目にすることができます。

第85回民族学研修の旅では、カンボジア、東北タイの村々をたずね、今も暮らしのなかで営まれている、手仕事の現場をめぐります。 各地の自然・生活環境に即して受け継がれてきた織りの技術、素材、その道具には、人びとの創意工夫の知恵を垣間見ることができます。手仕事の重要性や、人が自然と共生しながら生きてきた術を「織り」を通して考えてみたいと思います。

【前半】
カンボジアの伝統的な絹絣の復興につとめるIKTT(クメール伝統織物研究所)、そのIKTTがすすめる「伝統の森・再生計画」の拠点である「伝統の森」を訪問します。生糸づくりや染織のみならず、カイコを育てる桑や染料の素材となる植物の栽培、織機の製作まで絹絣の製作に必要な一連の行程をすべて、工房内でおこなっています。工房の運営は、内線を契機として途切れかけた「技術の継承」「就労支援」の役割も担っています。文化復興の在り方、カンボジアの歴史や社会背景にも目を向けます。

【後半】
東北タイの村々をめぐり、暮らしのなかで営まれている機織りの現場をめぐります。 藍染めや絣織り、ゴザ織りなど、私たち日本人とも共通する織りの仕事を目にすることができます。 自給自足的な営みがいまなお息づくこの地においても、伝統的な織物は急速に姿を消しつつあります。 ほか、アンコール遺跡群やトンレサップ湖の周遊、各地の博物館や市場も訪問します。 現地の名物料理や、伝統芸能なども楽しみます。

※第69回体験セミナーの関連企画です。
手仕事による機織りの現場を訪ねる旅(海外編)です。


第85回 手仕事への回帰-カンボジア、東北タイの機織りの現場をめぐる 実施報告

なお暮らしの中で一部として受け継がれている自給自足的な機織りの現場を求めて、カンボジアとタイ東北部へと足を運びました。


IKTT(クメール伝統織物研究所)では、織りにまつわる様々な仕事を見せていただき、また自給自足的な生活を体験させていただくとともに、ハンカチの染色もおこないました。
みなさん、個性的な仕上がり!


自宅の一室(土間のようなところ)で絣織りをおこなう女性。


訪問先の村ではいずこでも、規模大小を問わず、養蚕風景がみられました。

第438回 グローバル時代の「知的生産の技術」 フォーラム型博情館の可能性

演題
グローバル時代の「知的生産の技術」
フォーラム型博情館の可能性

内容
梅棹忠夫初代館長は、博物館を博情館と位置づけ、モノ、映像や音響資料の収集とそ れらの情報化に力を注ぎました。また、利用者自らが情報を選択・再構築し、自ら 「知的生産」を実践する場として、民博が活用されることを期待しました。グローバ ルな情報収集と利用が日常となった現代は、博物館における資料や情報の集積・利用 や公開の手法において、多様な異文化への配慮が特に必要です。「フォーラム型」の 情報集積と公開に新たな可能性を見出す、これからの「知的生産の技術」について考 えます。

講師
久保 正敏(国立民族学博物館教授)

日時
2015年1月10日(土) 講演会14時~15時/懇談会15時10分~16時

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第437回 ナラ林文化を再考する

演題
ナラ林文化を再考する

内容
大陸アジアの照葉樹林帯に、日本文化の起源を求めた照葉樹林文化論。この学説 の一翼を担った佐々木高明元館長は、南北双方からルーツを探る必要性を併せて 指摘し、照葉樹林文化に対応するものとして、北方系の文化の流れに「ナラ林文 化」という仮説の枠組みを設定しました。本講演では、ナラ林文化論に託された 課題を抽出し、生態環境や歴史的変遷をふまえつつ、「ナラ林文化」という文化 領域設定の可能性を改めて問い直してみたいと思います。

講師
佐々木 史郎(国立民族学博物館教授)

日時
2014年12月6日(土) 14時~15時

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第69回体験セミナー 「織り」からたどる手仕事の現場(国内編) ─

第69回体験セミナー 「織り」からたどる手仕事の現場(国内編) ─

2014年11月20日(木)~21日(金)

衣類をはじめ、人間生活に欠くことのできない「織り」。その技術は有史以前より広範な地域で受け継がれてきました。作業を効率よくするために多様な織機が生まれ、大量生産をも可能にする一方で、それ以前より続く手仕事の織りの作業には衰退著しいものがありました。しかし、一部の地域では、そうした手仕事を今でも目にすることができます。

第69回体験セミナーでは、古くからの織物産地であるとともに、養蚕・製糸業を牽引してきた群馬県を訪ね、織機や絹の資料館、山間部の生活のなかで営まれるワラやナワを糸素材とした織りの仕事を見せていただきます。 各地の自然・生活環境に即して受け継がれてきた織りの技術、素材、その道具には、人びとの創意工夫の知恵を垣間見ることができます。手仕事の重要性や、人が自然と共生しながら生きてきた術を「織り」を通して考えてみたいと思います。

※第85回民族学研修の旅の関連企画です。手仕事による機織りの現場を訪ねる旅(国内編)です。

第436回 特別展「イメージの力ーー国立民族学博物館コレクションにさぐる」関連 アート(美術)と人類学のあいだ―特別展「イメージの力」によせて―

演題
特別展「イメージの力ーー国立民族学博物館コレクションにさぐる」関連
アート(美術)と人類学のあいだ―特別展「イメージの力」によせて―

内容
アートと人類学(民族学)。20世紀を通じて、それぞれ別の道筋をたどってきたこのふたつの領域が、近年、急速に接近し、交流をもち始めています。国立新美術館と民博の共同で企画した今回の特別展「イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる」も、アートとアーティファクト、美術館と博物館、美術史学と人類学の壁を越えた試みのひとつです。今回の展示にちなんで、アートと人類学の関係を改めて考えます。

※講演会終了後、講師の案内のもと1時間程度の特別展見学会を開催します。

講師
吉田 憲司(国立民族学博物館教授)

日時
2014年10月4日(土) 14時~15時

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料