第77回 植物から博物学の世界を知る――東京大学総合研究博物館見学

演題
第77回 植物から博物学の世界を知る―東京大学総合研究博物館見学

内容

シーボルトが採集したクリの標本(撮影・池田博)

 幕末に来日したシーボルトは、日本の植物に魅せられただけでなく、江戸時代の本草学者による植物の理解や描写にも感銘を受けたといわれています。
 本草学は、本来は薬として役立つ植物などを研究する学問です。日本では江戸時代に中国から移入された『本草綱目』が刺激となり活発化します。しかし、初めは文献から薬草についての知識を学ぶことが主で、実際に植物を観察することはほとんどしませんでした。しかし、1708年に貝原益軒が『大和本草』を出版した頃から、自ら野山を歩き植物を観察するようになり、来日したシーボルトらの影響などを受け、薬草以外の植物にも目を向ける植物学へと移行していきました。
 本セミナーでは、私たちには馴染みの薄い本草学が植物学にどのような影響をもたらしたのか、また本草学からは身近な植物と人との関わりについて考えます。講義に加え、標本室および東京大学総合研究博物館の常設展示室も見学します。

【実施プログラム】
■レクチャー本草学とその日本での歩み(講師:大場 秀章)
 シーボルトが興味を持った本草学とはどのようなものなのか。また本草学が
 植物学にどのように引き継がれているのか。そして、江戸時代の人と植物と
 の関わり方から、人と植物との共生を考えます。
■標本室(ハーバリウム)見学(講師:池田 博)
 東京大学植物標本室 (TI) には、およそ170万点の標本が収蔵されています。
 その中から、オランダから寄贈されたシーボルト関連の標本コレクション、
 新種を発表するときに使われたタイプ標本など、普段は目にすることのでき
 ない標本を見学します。
■標本整理作業見学
 植物標本ができ上がるまでには、採集→乾燥→ラベル作成→貼り付け→配架
 と、さまざまな工程があります。標本がつくられ、標本室に配架されるまで
 の過程について、現場をめぐりながら紹介します。また、標本のデジタ化・
 データベース化についても紹介します。
■常設展示室の見学
 東京大学総合研究博物館は、20165月に常設展示場をリニューアルし、
 「UMUT オープンラボ -太陽系から人類へ」としてオープンしました。
 東京大学が持つ膨大な資料を使い、現場に立つ研究者がどのように標本と
 接し、それらと「格闘」しているのかを、「研究現場展示」というコンセプ
 トを掲げ示そうというものです。

講師
大場 秀章(東京大学総合研究博物館特招研究員、東京大学名誉教授)
池田 博 (東京大学総合研究博物館准教授)

日時
2月24日(土) 
13時00分~17時00分

場所
東京大学総合研究博物館[〒113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1

募集人数
30名(最少実施人数20名)※申込先着順

参加費
友の会会員:2,000円 一般:2,500円

申込方法
友の会事務局までお申し込みください。※申込締切:2018年2月9日(金)

第475回 藤戸竹喜の世界を深く知るために

演題
【開館40周年記念企画展アイヌ工芸品展「現れよ。森羅の生命(いのち)―木彫家 藤戸竹喜の世界」関連】
藤戸竹喜の世界を深く知るために

内容

最新の連作「狼と少年の物語」と藤戸竹喜氏
(撮影:齋藤玲子)

氏(1934~)は、旭川を拠点に「熊彫り」を生業としていた父のもとで12歳から木彫を始め、30歳で道東の阿寒湖畔に民芸品店とアトリエを構えて独立。熊を原点としつつ、狼や鹿など北国の野生動物とアイヌ文化伝承者の姿を木に刻み、繊細さと大胆さが交差する独自の世界を築いてきました。これらの作品は、いつ・どのように生まれたのか、ご本人からうかがった幼少時や青年期の話などを交えて、紹介します。

※講演会終了後、企画展の見学会と映像鑑賞会を交代制でおこないます。

講師
齋藤 玲子(国立民族学博物館准教授)

日時
3月3日(土) 13時30分~14時40分

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
80名(先着順)

備考
■友の会:無料、一般:500円
※展示見学会に参加の方は会員証もしくは展示観覧券をご提示ください。

第474回 日本文明の夜明け―梅棹忠夫と三内丸山遺跡

演題
【みんぱく名誉教授シリーズ】
日本文明の夜明け―梅棹忠夫と三内丸山遺跡

内容
1993年に発見された三内丸山遺跡の六本柱の巨大モニュメントは、小規模な狩猟採集段階にあったとされていた縄文時代の社会の在り方の再考をうながしました。梅棹忠夫はこの遺跡を訪れたあと、「都市的性格が強く、その中心となったのが神殿であった」と述べました。日本の歴史を文明という一本の線上で捉えようとする、この大胆な仮説の成立過程とそれがその後の研究の展開にどのような影響を与えたかを考えます。

※講演会終了後、講師を囲んで懇談会(40分)をおこないます。


講師
小山 修三(国立民族学博物館名誉教授)

日時
2018年2月3日(土) 13時30分~14時40分
※1月と2月の友の会講演会の講師が『月刊みんぱく』11月号掲載内容から変更になりました。ご注意ください。

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会:無料、一般:500円

第121回 【北東アジア地域研究拠点関連】カザフの食と儀礼―ひとの一生を彩る草原の恵み

演題
【北東アジア地域研究拠点関連】
カザフの食と儀礼―ひとの一生を彩る草原の恵み

内容
ユーラシアの広大な草原地帯で暮らすカザフの人びと。遊牧民であった伝統を受け継ぐ彼らの食事の特徴は、乳製品や肉料理の種類の多さです。牧畜の年間サイクルと深く関わり、夏には乳製品づくり、冬には肉製品づくりと季節ごとに食は大きく変化します。また、人生の節目にも、子どものすこやかな成長や幸せな結婚生活などへの願いを込めて、草原の恵みを活かした料理がふるまわれます。本講演では、カザフの人びとの多様な食文化と食に込められた想いについて紹介します。

※講演会終了後、講師を囲んで懇談会(40分)をおこないます。

講師
藤本 透子(国立民族学博物館准教授)

日時
2018年1月27日(土) 13時30分~14時40分

場所
モンベル御徒町店4Fサロン

定員
60名(申込先着順)

備考
■友の会・モンベル会員:無料、一般:500円

第473回 タヒチとイースター島―楽園と崩壊の対比

演題
タヒチとイースター島―楽園と崩壊の対比

内容

パンノキは重要な食量の一つだった

ポリネシアの多くの島は10世紀ごろまで無人島でした。大陸から遠く離れたこれら熱帯の島々には、食用できる植物はほとんどありませんでした。それを楽園のような豊かな環境に作り変えたのは、海を越えて西から移住してきたポリネシア人でした。島という限られた自然環境に移住するにあたって、どんな準備や工夫をし、楽園とまで呼ばれた環境を作り出せたのか、あるいは失敗したのか、タヒチとイースター島という対照的な例を紹介します。
         
※講演会終了後、講師を囲んで懇談会(40分)をおこないます。講師が長年発掘調査を続けているミクロネシアの島で発掘した、約1000年前の土器や釣り針、貝製品などの出土遺物をご覧いただきます。

講師
印東 道子(国立民族学博物館教授)

日時
2018年1月6日(土) 13時30分~14時40分
※1月と2月の友の会講演会の講師が『月刊みんぱく』11月号掲載内容から変更になりました。ご注意ください。

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会:無料、一般:500円