168号 2019年 春

特集 暦をめくる、世界をめぐる

新元号「令和」がスタートする。
元号は年を数えたり記録するための紀年法のひとつだが、終わりのない無限の紀年システムである西暦に対し、ある年でリセットされるのが特徴だ。一方、紀年法とともに、無限に流れる時間を区切り、意味を与え、未来を予測したりするのが暦である。

本特集では、暦の文化に焦点を当て、暦やカレンダーに関連づけられている祝日や行事、吉凶の暦注、民族や民俗、ひいては政治や宗教、経済や社会といった側面に目を向ける。

日本では西暦とよばれるグレゴリオ暦(太陽暦)が世界にかなり普遍的に普及していてグローバル・スタンダードの観を呈しているが、それに対抗するイスラーム暦(太陰暦)も存在すれば、中国の農暦(太陰太陽暦)やインドのヒンドゥー暦(太陰太陽暦)も健在である。おなじイスラーム圏でありながら、イランのように春分を年初とする太陽暦が生活の基本となっている国もある。中国の回族は清真寺(イスラーム寺院)の発行するカレンダーに西暦、農暦、イスラーム暦の三種の暦を盛り込んでいる。このように二重、三重の暦をつかいわけて暮らすことはごく一般的である。

民博の展示場をまわると、じつに個性的な暦の数々を目にすることができる。暦を切り口に、世界の文化の多様性をめぐる旅に出かけよう。

2019(平成31)年4月25日発行 
発行所:一般財団法人 千里文化財団

『季刊民族学』は「国立民族学博物館友の会」の機関誌です。
「国立民族学博物館友の会」へご入会いただければ定期的にお届けいたします。

167号 2019年 新春

特集 二つの顔をもつ山――世界遺産・富士山

有史以来頻繁に噴火し、江戸中期の宝永噴火を最後に現在は休止しているものの依然活火山である富士山は、二つの顔をもっている。
火の神と結びつく火山の顔と、水の神と結びつき火を鎮め人を清める水の源としての顔、これらはまた男性神と女性神に対応づけられ、近くから見れば荒々しい山肌や畏れを、
遠くから見ると憧れを抱かせる円錐形の美しい顔をもつ。
 富士山が世界遺産に登録された際の要件は、「信仰の対象」と「芸術の源泉」であるが、時代によってその一方が強調され、その後、もう一方へと交替してきた歴史がある。
 縁起物「一富士二鷹三茄子」や、フジという読みの当て字も、福慈、不二(二つとない)、不死、不尽などめでたいものである。また、江戸時代の絵のモティーフである富士と龍も「不時、すなわち時ならざる不幸を断つ」という語呂合わせとして、吉兆の印としても捉えられてきた。
 新年にあたり、おめでたい富士山の両義性を踏まえつつ、富士山のもつさまざまな顔に
ついて考えたい

2019(平成31)年1月25日発行 
発行所:一般財団法人 千里文化財団

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166号 2018年 秋

国立民族学博物館では2019(平成31)年2月21日から5月7日にかけて企画展「旅する音楽―南アジア、弦の響き」が開催される。展示の企画委員7名は、長年にわたり音楽の研究や演奏に携わり、現在も第一線で活動を続けている研究者ばかりである。
本特集では各委員がそれぞれ担当した展示セクションに読者を誘いざなうとともに、展示の内容をより深く楽しんでいただけるように、展示場では詳しく紹介することのできない側面に焦点を当ててみたい。
楽器は、美術工芸品としても第一級であることが多く、外形を観るだけでも十分楽しむことができるが、本来は音を出すための道具である。ゆえに特定の音に対する嗜好を実現するために、さまざまな、そして時に驚くほど創造的な工夫が施されてきた。本特集ではこのような音の嗜好が楽器の誕生や改変にどのように作用したかに注目し、演奏家や職人たちの楽器に対する視点を知る糸口となる知識を提供したい。

2018(平成30)年10月25日発行 
発行所:一般財団法人 千里文化財団

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165号 2018年 夏

国立民族学博物館創設時のコレクションのひとつに、大阪万博での展示のために収集された大阪万博関連資料があります。梅棹忠夫、泉靖一の指揮のもと多くの若き人類学徒が世界各地で収集活動を行ったこのプロジェクトのきっかけをつくったのが岡本太郎です。岡本太郎は、太陽の塔をはじめとした多くの芸術作品で知られているが、若き日にパリで民族学を学んだ民族学者の一面をもっています。本特集では民族学者としての岡本太郎に焦点を当て、民族学および民族学博物館が21世紀にいかなる可能性をもっているのかを探ります。

2018(平成30)年7月25日発行 
発行所:一般財団法人 千里文化財団

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164号 2018年 春

本特集のテーマは、ダライ・ラマに代表される「化身ラマ」たちの世界である。ただし、その舞台はチベットではなく、モンゴルである。

実はチベット仏教とモンゴル仏教は大きな重なりがある。まずチベット・モンゴル仏教に共通する大きな特徴として挙げられるのが、如来や菩薩、偉大な仏教修行者の「化身」すなわち、生まれ変わりとして崇拝される化身ラマ(転生活仏)の存在である。本特集では、こうした神秘のベールに包まれた化身ラマの舞台裏を垣間見ていきたい。

2018(平成30)年4月25日発行 
発行所:一般財団法人 千里文化財団

※『季刊民族学』とウェブ上のアカデミックジャーナル『SYNODOS』とのコラボレーションが実現しました。本特集記事の3 編が誌面を飛び出して『SYNODOS』に登場します。ウェブ媒体と紙媒体のマリアージュをどうぞ。
5月11日、18日、25日にそれぞれ掲載されます。

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