144号 2013年 春

機関誌
ペルー、投石紐をつくるケチュアの男性
吉本忍

特集 機織りの現場から

 ―手仕事への回帰―  吉本忍

インドで出会ったからだ機  上羽陽子

篩つくりにみるエチオピアの「手(曵)機」  井関和代

時を織り込む人びと
―中華人民共和国:貴州省苗民族の腰機と織物  鳥丸貞惠

インドネシア・スラウェシ島ママサ人のカード織り   日下部啓子

インドネシアの腰機と織物  内海涼子

今に伝わる『天工開物』の腰機  内海涼子

私が見た韓国の麻布たち  ひろいのぶこ

タロコ族の弓機による帯織り  石井香久子

シルクロードの杭機  柳悦州

西アフリカの布 ―重石機  井関和代

中国・貴州省、屯堡人のカード織り   鳥丸知子

ラフィア繊維を織る機とバントゥ諸民族   井関和代

シルクロードの枠機  柳悦州

ラオスの紋織り技術  柳悦州

タイ東北部・クーイ人の野良着つくり  行松啓子

ミャンマー・シャン州に居住する「ワ」の衣装と織機  板垣順平

ネパールの織フェルト技術  上羽陽子

西陣の織機と織物  藤井健三

空引機への回帰  高田倭男

異形の織物との出会い  吉本忍

東アジアを中心に発達したムシロ状織物を織る技術  吉本忍

世界をさわる 第3回
さわる子、育て
「触発」の育児論

私たちは日常において、視覚と聴覚に頼って情報を取り込むことが多い。日常生活にとどまらず、博物館や美術館という鑑賞・学習の現場でも「見学」「観覧」といった視覚中心の鑑賞方法が提示されることが多い。しかし、ものの本質を知る手段は、視覚や聴覚に限るのだろうか。本連載では、五感のうちでもとくに「さわる」行為に着目し、「見える」「聞こえる」という常識にとらわれない、あらゆる角度から対象を理解する“手法”を提案したい。「さわる」行為には、世界を知るためのさまざまな可能性が秘められている。  

“食”と“触”で拓く双方向コミュニケーション  広瀬浩二郎

さわる子、育て
「触発」の育児論  小西行郎

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【地域(国)】
アフリカ(エチオピア、コンゴ、ナイジェリア、カメルーン、マリ)
西アジア(イラン、チュニジア、シリア、エジプト)
南アジア(インド、ネパール)
東アジア(日本、中国、韓国、台湾)
東南アジア(インドネシア、ベトナム、タイ、ラオス、ミャンマー)

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【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
石井 香久子(いしい かくこ 九州産業大学助手)
井関 和代(いせき かずよ 大阪芸術大学教授)
板垣 順平(いたがき じゅんぺい 大阪芸術大学通信教育部非常勤講師)
上羽 陽子(うえば ようこ 国立民族学博物館准教授)
内海 涼子(うつみ りょうこ 大阪成蹊大学教授)
日下部 啓子(くさかべ けいこ トラジャ テキスタイル アーツ主宰、首都大学東京大学院 社会人類学博士後期課程)
小西 行郎(こにし ゆくお 同志社大学教授)
高田 倭男(たかた しづお 高田装束研究所所長)
鳥丸 貞惠(とりまる さだえ 芸術文化学博士)
鳥丸 知子(とりまる ともこ 九州栄養福祉大学非常勤講師)
ひろい のぶこ(ひろい のぶこ 京都市立芸術大学教授)
広瀬 浩二郎(ひろせ こうじろう 国立民族学博物館准教授)
藤井 健三(ふじい けんぞう 西陣織物館顧問)
柳 悦州(やなぎ よしくに 沖縄県立芸術大学教授)
行松 啓子(ゆきまつ けいこ 染織作家、群馬県立絹の里 織物専任講師)
吉本 忍(よしもと しのぶ 国立民族学博物館教授)

143号 2013年 新春

機関誌
薄型テレビに映るアメリカ文化をみつめる人たち
大村次郷

万国喫茶往来 第10回 東南アジア2
ふたつのお茶

変貌するミャンマーの喫茶事情

文=白石 隆
写真=大村次郷

コラム ミャンマーの街角から
大村次郷

この現代中国を、カワウと生きぬく

卯田宗平

ムジャッダラ考
とある家庭料理をめぐる、シャーム地方文化論

菅瀬晶子

古来シャーム地方と呼ばれてきた東地中海アラビア語圏。シリア、レバノン、パレスチナ、ヨルダンに相当するが、いずれも長らく政情不安定であり、「危険な紛争地域」というイメージが常について回る。イスラエルは頻繁にガザ地区を攻撃し、シリア内戦も終結の兆しがまったくみえず、この地域が紛争の地であることはまぎれもない事実である。そのイメージの陰に隠れ、シャーム地方の実像はほとんどみえてこない。ムジャッダラというひと皿の料理から、この地域の風土や文化の特徴を解き明かしてみたい。

エンパイア・ウインドラッシュ号からロンドン・オリンピックへ
都市の祝祭からみるアフロ・カリブ系の歴史・芸術・文化

木村葉子

ノッティングヒル・カーニバルは、八月最終週の日曜日と月曜日の連休にロンドンでおこなわれる祝祭である。色鮮やかな仮装パレード、現代音楽が響きわたるサウンド・システム(固定式と移動式の音響装置)、カーニバル特有の無礼講が都市の喧騒と共鳴しあい、都心近くの閑静な高級住宅地ノッティングヒルは、一年に二日間、カリブの陽気な世界に変貌する。このカーニバルで中心となるのは、カリブ海地域の旧イギリス植民地出身者とイギリスうまれの第二世代以降を含むアフロ・カリブ系で、大西洋奴隷貿易においてアフリカからカリブ海地域へ売られた奴隷の子孫にあたる・・・

世界をさわる 第2回
体験学習プログラム「サワッテ ミル カイ」の開発

私たちは日常において、視覚と聴覚に頼って情報を取り込むことが多い。 日常生活にとどまらず、博物館や美術館という鑑賞・学習の現場でも「見学」「観覧」といった視覚中心の鑑賞方法が提示されることが多い。 しかし、ものの本質を知る手段は、視覚や聴覚に限るのだろうか。 本連載では、五感のうちでもとくに「さわる」行為に着目し、「見える」「聞こえる」という常識にとらわれない、あらゆる角度から対象を理解する〝手法〟を提案したい。 「さわる」行為には、世界を知るためのさまざまな可能性が秘められている。

生活さわり方運動の提唱
広瀬浩二郎

体験学習プログラム「サワッテ ミル カイ」の開発
大野照文

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【地域(国)】
東南アジア(ミャンマー)
東アジア (中国)
西アジア (シリア、レバノン、イスラエル、ヨルダン)
ヨーロッパ(イギリス)
東アジア(日本)

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【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
卯田宗平(うだしゅうへい 東京大学日本・アジアに関する教育研究ネットワーク、東洋文化研究所特任講師)
大野照文(おおのてるふみ 京都大学総合博物館館長)
大村次郷(おおむら つぐさと 写真家)
木村葉子(きむらようこ 名古屋外国語大学非常勤講師)
白石 隆(しらいし たかし 政策研究大学院大学学長、京都大学名誉教授)
菅瀬晶子(すがせあきこ 国立民族学博物館助教)
広瀬浩二郎(ひろせ こうじろう 国立民族学博物館准教授)

142号 2012年 秋

機関誌
ニジェール、水汲みに向かうトゥーブーの女の子
大塚雅貴

灼熱のサハラ砂漠 ニジェールのテネレへ
砂漠に暮らすトゥーブーの人びと

大塚雅貴

ニジェール北部、サハラ砂漠。 トゥアレグ語で「空白の地」を意味するテネレという地域がある。 熱砂うずまく荒涼の大地で、井戸から水を汲み上げ、 家畜とともに生きるトゥーブーの人びとを訪ねた。

国立民族学博物館企画展「記憶をつなぐ―津波災害と文化遺産」関連企画・「復興への道」第二弾
三陸沿岸に生きる

一年半  西岡圭司

追憶の三陸沿岸の村と人  森本 孝

「きりこ」のある風景
再生をつかさどる被災地の切り紙細工  丹羽朋子

南部藩壽松院年行司支配太神楽と国立民族学博物館
企画展「記憶をつなぐ―津波災害と文化遺産」関連イベント
「南部藩壽松院年行司支配太神楽みんぱく公演」に寄せて   橋本裕之

世界をさわる 第1回
さわって楽しむ宇宙の不思議

私たちは日常において、視覚と聴覚に頼って情報を取り込むことが多い。 日常生活にとどまらず、博物館や美術館という鑑賞・学習の現場でも「見学」「観覧」といった視覚中心の鑑賞方法が提示されることが多い。 しかし、ものの本質を知る手段は、視覚や聴覚に限るのだろうか。 本連載では、五感のうちでもとくに「さわる」行為に着目し、「見える」「聞こえる」という常識にとらわれない、あらゆる角度から対象を理解する〝手法〟を提案したい。 「さわる」行為には、世界を知るためのさまざまな可能性が秘められている。

世界をさわる
サイエンス、コミュニケーション、アートの統合をめざして  広瀬浩二郎

さわって楽しむ宇宙の不思議  嶺重 慎

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【地域(国)】
アフリカ(ニジェール)
東アジア(日本)

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【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
大塚 雅貴 (おおつか まさたか 写真家)
西岡 圭司 (にしおか けいじ 季刊民族学編集長)
丹羽 朋子 (にわ ともこ 東京大学大学院総合文化研究科博士課程・国立民族学博物館共同研究員)
橋本 裕之 (はしもと ひろゆき 追手門学院地域文化創造機構特別教授)
広瀬 浩二郎(ひろせ こうじろう 国立民族学博物館准教授)
嶺重 慎  (みねしげ しん 京都大学大学院理学研究科教授)
森本 孝  (もりもと たかし 東北文化研究センター共同研究員)

141号 2012年 夏

機関誌
アンコール・ワット、第一回廊腰壁に残る弾痕
大村次郷

特集 文化遺産を再見する

私たちの日常の根底には、先祖が長年にわたり培ってきた文化・文化遺産があり、人びとは暮らしのなかのさまざまな場面で、それらを拠り所としてきた。 しかし、紛争、政治システムといった社会の変容、あるいは気象変動などによる環境の変化は、人びとと文化遺産の距離をときに遠ざけたり、あるいは近づけたりしてきた。 また、近年の国境を越えた人・情報の広がりは文化遺産に対して、その担い手の意思とはかけはなれたところで意味づけがおこなわれるなど、新たな展開も見せはじめている。 世界文化遺産への登録など、文化遺産がますます注目される現在、その背景や意味を正確に知り、将来に思いを馳せることが必要ではなかろうか。 研究者三名による論考と、写真家が捉えた画像を通して文化遺産を再建する。

ブッダガヤー  写真=大村次郷

インドにおける「仏教聖地」
生きた文化遺産の葛藤とその行方  文=前島 訓子

社会主義的無神論の遺産
ポスト社会主義ロシアにおける宗教文化財と博物館  文=高橋 沙奈美

福建土楼  写真=大村 次郷

暮らしの場が文化遺産に 中国「福建土楼」  文=小林 宏至

アンコール遺跡  写真=大村 次郷

コルディリェラの棚田群  写真=大村 次郷

移民からヨーロッパを考える

Part 1
移民の母語教育最前線
フィンランド  庄司 博史

Part 2
「外国人」から「移民」へ
ドイツ在住トルコ系移民の現在  石川 真作

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【地域(国)】
東アジア(日本)
東アジア(中国)
東南アジア(カンボジア)
東南アジア(フィリピン)
南アジア(インド)
西アジア(トルコ)
ヨーロッパ(ロシア)
ヨーロッパ(フィンランド)
ヨーロッパ(ドイツ)

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【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
石川 真作(いしかわ しんさく 京都文教大学人間学研究所客員研究員)
小林 宏至(こばやし ひろし 首都大学東京大学院博士後期課程、日本学術振興会 特別研究員)
庄司 博史(しょうじ ひろし 国立民族学博物館教授)
高橋 沙奈美(たかはし さなみ 日本学術振興会 特別研究員)
前島 訓子(まえじま のりこ 名古屋大学技術補佐員、椙山女学園大学非常勤講師)

140号 2012年 春

機関誌
ジャカルタの「カフェ・バタヴィア」のウェイター
大村次郷

万国喫茶往来 第9回 東南アジア1
海域アジアの要ジャワのテー・ボトル

文=白石 隆
写真=大村次郷

17世紀、海の帝国を誇るオランダにとって、ジャワは海域アジアの要であり、自らの勢力拡大には不可欠な要所であった。 ボゴールを中心に一面の茶畑がひろがり、世界有数の茶生産地と知られる現在のジャワの姿もこれと無縁ではない。 インドネシアの人びとと茶の関係をヨーロッパとの関係史から紐解いていく。

赤い石がつくる道
―カーネリアン・ロードをたどって

小磯 学
遠藤 仁

1章 採掘、加工、交易の歴史
2章 加工の現場から
3章 消費のかたち

パキスタンの結婚

常見 藤代

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【地域(国)】
東南アジア(インドネシア)
南アジア(インド、パキスタン)

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【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
遠藤 仁(えんどう ひとし 総合地球環境学研究所研究員)
小磯 学(こいそ まなぶ 神戸夙川学院大学准教授)
白石 隆(しらいし たかし 政策研究大学院大学学長・京都大学名誉教授)
常見 藤代(つねみ ふじよ 写真家)