2009年企画展「チベット ポン教の神がみ」

国立民族学博物館
企画展「チベット ポン教の神がみ」

会期:2009年4月23日(木)~7月21日(火)
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:毎週水曜日[ただし4月29日(水・祝)・5月6日(水・祝)は開館、4月30日(木)・5月7日(木)が休館

主催:国立民族学博物館 財団法人千里文化財団
助成:独立行政法人日本万国博覧会記念機構

ポン(Bon)教は中国のチベット自治区全域、四川省、甘粛省、青海省、雲南省からヒマラヤ南麓にまでひろく分布している宗教で、仏教がチベットにもたらされ、政権と結びつく前まではその地域の主流を占めていました。土着的要素と密接な関連を保ちながら、独自の高度な教理体系を築きあげ、少数派ながら今も宗教集団として生き続けています。チベット仏教の哲学・儀礼の随所にポン教からの影響が認められます。また、古いポン教徒はシェンシュン語という未だその系統も文法も明らかにされていない言語を用いていました。この言語はチベット文語の成立に重大な影響を及ぼしたはずであると推測されます。このように、ポン教はさまざまな面で、チベットの文化基盤を代表する宗教であり、その地域を理解する上で不可欠の要素と言えるでしょう。

本展示では、ポン教が築きあげてきた宗教的宇宙の構造の一部を図像資料によって紹介するとともに、ポン教の歴史や現代における分布、儀礼なども紹介します。これによってチベットの基層文化に関する理解を少しでも深めていただければ幸いです。


関連催し(終了しました)
研究公演「ポン教の本質を探る」
ツルティム・テンジン(ポン教学僧) × 夢枕 獏(作家) 司会解説:長野 泰彦(民博教授)

ポン教はチベットの修験道ともいわれます。
チベット宗教文化の基盤をなすポン教の本質について、夢枕 獏が迫る
日時: 2009年4月26日(日) 13:00~14:30(開場12:30~)
会場: 国立民族学博物館 講堂(大阪)
定員: 450名 要申込・先着順 参加費無料
主催: 国立民族学博物館 財団法人千里文化財団


関連催し(終了しました)
研究フォーラム in 東京「チベットの基層文化を探る」
Tracing the Cultural Substratum of Tibet

プログラム

プロローグ「チベット宗教におけるポン教の位置」長野 泰彦
基調講演 「ポン教教義の特色」ツルティム・テンジン
パネルトーク「ポン教とは何か?」
パネリスト
立川 武蔵(愛知学院大学教授 民博名誉教授)
「チベット宗教の普遍性」

森  雅秀(金沢大学教授)
「図像学の立場から」

ツルティム・テンジン
「行の立場から」

津曲 真一
「ゾクチェン哲学と禅」

総合司会
長野 泰彦

日時: 2009年4月29日(水・祝)18:30~20:30(開場17:30~)
会場学術総合センター 一橋記念講堂[東京都千代田区一ツ橋2-1-2]
交通案内
1.東京メトロ半蔵門線・都営三田線・都営新宿線「神保町駅」徒歩5分
2.東京メトロ東西線「竹橋駅」徒歩4分
定員: 500名 要申込・先着順 参加費無料
主催: 国立民族学博物館 財団法人千里文化財団


関連催し
友の会講演会
友の会講演会は会員のみなさんへむけて毎月開催している講演会です。

● 第371回友の会講演会
日時: 2009年5月2日(土)14:00~15:00
講演会終了後、みんぱく見学会を開催します。
演題: 企画展「チベット ポン教の神がみ」関連
チベットのヤングー儀礼 ─ 幸運をよぶいのり
講師: 長野泰彦(民族文化研究部教授)
内容: チベット人はツキや運をよびよせるような霊的存在をヤンとよび、結婚式や人の死、家畜の売却、収穫時など生活の節目で、ヤンを取り込んだり、活力を再生させたりします。チベット文化圏にみられるこうした民間信仰の儀礼についてお話しします。

● 第372回友の会講演会
日時:
2009年6月6日(土)14:00~15:30
講演会終了後、終了後、講師との懇談会(1時間程度)をおこないます。
演題: 企画展「チベット ポン教の神がみ」関連 ポン教とチベット仏教
講師: 立川武蔵(愛知学院大学教授・民博名誉教授)
内容: ポン教がどのような宗教かを説明するのは容易ではありません。仏教と驚くほどの類似性を示しながら、独自の特質ももちつづけています。ポン教の歴史とチベット仏教との関係など、ポン教がもつさまざまな要素を解説します。


ツルティム・テンジン師 略歴

ティテン・ノルブツェ寺学堂長 国立民族学博物館客員准教授。

ツルティム・テンジン師は1967年12月生まれのポン教学僧で、現在ネパール、カトマンズ盆地の北西部にあるティテン・ノルブツェ寺瞑想学堂(ドゥプタ)の堂長(ケンボ)を務めている。19歳で出家し、論理学や中観を学んだ後、ゾクチェン教学研究に転じ、1994年ティテン・ノルブツェ寺でゲシェ(博士)位を取得。2003年オックスフォード大学で儀礼用具トルマに関する共同研究に参画。

ティテン・ノルブツェ寺は、ポン教の高僧で、ロンドン大学でスネルグローヴ教授と研究を行ってきたテンジン・ナムタク師が1987年に設立した新しい学問寺で、現在約150名の若い僧侶達がポン教の教育階梯に則り、修行を続けている。

夢枕 獏(ゆめまくら ばく)氏 略歴

1951年神奈川県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒、77年にプロ作家活動を開始。「キマイラ」「サイコ・ダイバー」「闇狩り師」「餓狼伝」「陰陽師」などのシリーズで読者の支持を集める。

89年『上弦の月を喰べる獅子』第10回日本SF大賞受賞。98年『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞受賞。「陰陽師」など漫画化作品や映画化された作品が多数あり、近年の著作に『沙門空海 唐の国にて鬼と宴す』や『シナン』、『東天の獅子』などがある。

趣味は「釣り」の他、カヌーや登山などアウトドア全般と写真撮影、陶芸、書。狂言、歌舞伎、落語、講談など古典芸能鑑賞や格闘技観戦など。
写真(C)夢枕獏事務所


助成:助成

*本事業は日本万国博覧会記念基金の助成をえて実施いたします。

第73回 民族学研修の旅 文明の重層地帯、ヨルダンをゆく ─ 遺跡・文化遺産をいかした町づくりと博物館

第73回 民族学研修の旅 文明の重層地帯、ヨルダンをゆく ─ 遺跡・文化遺産をいかした町づくりと博物館

2009年3月20日(金)~3月29日(日) 10日間

文明の重層地帯をゆく  ヨルダンは古代からの歴史の中で文明・文化が重なり合ってきた文明の重層地帯です。世界文化遺産に指定されたペトラなどの遺跡、ギリシア・ローマやビザンチン帝国の時代の遺跡、イスラーム文化やキリスト教文化の歴史的建造物やフレスコ画、モザイク画などさまざまな文化遺産が今なお残っています。今回はこれらの遺跡をくまなく巡ります。さまざまな文明・文化がこの地を去来したことを実感ください。

博物館の役割 ─ 遺跡と町並み保存を考える
近年、ヨルダンでは観光産業の点から、遺跡の保存・研究にあるいは町づくりに果たす博物館の役割が注目されるようになりました。今回の講師、森田恒之先生(民博名誉教授)は、こうしたヨルダン各地の博物館づくりに3年間携わってこられました。博物館をセンターにオスマン・トルコ時代の町並み全体を保存する計画など、現在も進められているプロジェクトの現場を見ます。

現地の博物館との交流
森田先生が携わられたいくつかの博物館で館長や学芸員による解説・案内をうけ、参加の友の会会員との交流の場をもうけます。ヨルダンの学芸員の中には民博で研修を受けた方も複数おられます。

現地の人々の生活を体験
今回は特別に、民博での研修経験をもつ学芸員のご自宅を訪問します。家庭料理とともに国外には出回っていないヨルダン産のワインを楽しみながら、ヨルダンの日常生活を体験します。活気あるスーク(市場)での買い物なども予定しています。  3月のヨルダンは花の咲き乱れる美しい季節。遺跡や歴史だけでなく、ヨルダン独特の自然もお楽しみください。


第73回 文明の重層地帯、ヨルダンをゆく-遺跡・文化遺産をいかした町づくりと博物館 実施報告

8日間かけてヨルダンを北から南まで訪ねました。古代ローマから中世イスラームの遺跡。死海やブラックアイリス、砂漠といった自然。

想像以上にさまざまな文化、文明が重なり合っている様子を体験しました。「行ってみなければ分からない」という言葉がぴったりの国でした。

さらに博物館では、JICAや民博での研修を受けた学芸員から解説を受け、開館準備中の博物館の見学も含め、現在、進行中のプロジェクトの様子などについてもお話いただきました。

また、民博に研修に来られていた学芸員サハルさんのお宅を訪ね、アラブ式のおもてなしを受けるという貴重な体験もしました。


伝統文化博物館学芸員サハルさんのお宅にて
自家製ワインをいただく


ジェラシュ遺跡の広場


ジェラシュのローマ劇場にて独唱を聴く


車窓から探し求めた念願のブラックアイリス

第369回 アンデス文明の遺跡が語る人びとの暮らし ― 高地から海岸砂漠まで

演題
アンデス文明の遺跡が語る人びとの暮らし ― 高地から海岸砂漠まで

内容
アンデス文明とはその名の通り、アンデス山脈の上で生まれ発展したものですが、それ以外の地域、たとえば海岸地域にひろがる砂漠や、アマゾンにつながる低地の森林地帯でも人びとの暮らしは営まれてきました。遺跡から発掘される土器などからは、当時の様子がうかがえると同時に、現在へとその営みがつながっていることがわかります。紀元前から現在までつづくペルーの人びとの暮らしについて語ります。

※講演会終了後、講師の先生との懇談会をおこないます。(約1時間)

講師
藤井 龍彦(国立民族学博物館名誉教授)

日時
2009年3月7日(土) 14時~15時30分

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料

第368回 病をなおす(3) 医療人類学の現在 ─癒しの多様なかたち

演題
病をなおす(3)
医療人類学の現在 ─癒しの多様なかたち

内容
近代医療だけが病気を治しているのではありません。病むことが多様であれば、治療や癒しもまた多様なはずです。文化人類学や民族学は、この実態の解明に貢献してきましたが、それらの研究の一端をわかりやすく紹介します。

※講演会終了後、講師の先生との懇談会をおこないます。(約1時間)

講師
池田 光穂(大阪大学教授)

日時
2009年2月7日(土) 14時~15時30分

場所
国立民族学博物館2階 第5セミナー室

定員
96名(先着順)

備考
■友の会会員:無料