特集 暦をめくる、世界をめぐる
新元号「令和」がスタートする。
元号は年を数えたり記録するための紀年法のひとつだが、終わりのない無限の紀年システムである西暦に対し、ある年でリセットされるのが特徴だ。一方、紀年法とともに、無限に流れる時間を区切り、意味を与え、未来を予測したりするのが暦である。
本特集では、暦の文化に焦点を当て、暦やカレンダーに関連づけられている祝日や行事、吉凶の暦注、民族や民俗、ひいては政治や宗教、経済や社会といった側面に目を向ける。
日本では西暦とよばれるグレゴリオ暦(太陽暦)が世界にかなり普遍的に普及していてグローバル・スタンダードの観を呈しているが、それに対抗するイスラーム暦(太陰暦)も存在すれば、中国の農暦(太陰太陽暦)やインドのヒンドゥー暦(太陰太陽暦)も健在である。おなじイスラーム圏でありながら、イランのように春分を年初とする太陽暦が生活の基本となっている国もある。中国の回族は清真寺(イスラーム寺院)の発行するカレンダーに西暦、農暦、イスラーム暦の三種の暦を盛り込んでいる。このように二重、三重の暦をつかいわけて暮らすことはごく一般的である。
民博の展示場をまわると、じつに個性的な暦の数々を目にすることができる。暦を切り口に、世界の文化の多様性をめぐる旅に出かけよう。
2019(平成31)年4月25日発行
発行所:一般財団法人 千里文化財団
『季刊民族学』は「国立民族学博物館友の会」の機関誌です。
「国立民族学博物館友の会」へご入会いただければ定期的にお届けいたします。
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