141号 2012年 夏

機関誌
アンコール・ワット、第一回廊腰壁に残る弾痕
大村次郷

特集 文化遺産を再見する

私たちの日常の根底には、先祖が長年にわたり培ってきた文化・文化遺産があり、人びとは暮らしのなかのさまざまな場面で、それらを拠り所としてきた。 しかし、紛争、政治システムといった社会の変容、あるいは気象変動などによる環境の変化は、人びとと文化遺産の距離をときに遠ざけたり、あるいは近づけたりしてきた。 また、近年の国境を越えた人・情報の広がりは文化遺産に対して、その担い手の意思とはかけはなれたところで意味づけがおこなわれるなど、新たな展開も見せはじめている。 世界文化遺産への登録など、文化遺産がますます注目される現在、その背景や意味を正確に知り、将来に思いを馳せることが必要ではなかろうか。 研究者三名による論考と、写真家が捉えた画像を通して文化遺産を再建する。

ブッダガヤー  写真=大村次郷

インドにおける「仏教聖地」
生きた文化遺産の葛藤とその行方  文=前島 訓子

社会主義的無神論の遺産
ポスト社会主義ロシアにおける宗教文化財と博物館  文=高橋 沙奈美

福建土楼  写真=大村 次郷

暮らしの場が文化遺産に 中国「福建土楼」  文=小林 宏至

アンコール遺跡  写真=大村 次郷

コルディリェラの棚田群  写真=大村 次郷

移民からヨーロッパを考える

Part 1
移民の母語教育最前線
フィンランド  庄司 博史

Part 2
「外国人」から「移民」へ
ドイツ在住トルコ系移民の現在  石川 真作

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【地域(国)】
東アジア(日本)
東アジア(中国)
東南アジア(カンボジア)
東南アジア(フィリピン)
南アジア(インド)
西アジア(トルコ)
ヨーロッパ(ロシア)
ヨーロッパ(フィンランド)
ヨーロッパ(ドイツ)

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【執筆者(五十音順。肩書は発行当時のもの)】
石川 真作(いしかわ しんさく 京都文教大学人間学研究所客員研究員)
小林 宏至(こばやし ひろし 首都大学東京大学院博士後期課程、日本学術振興会 特別研究員)
庄司 博史(しょうじ ひろし 国立民族学博物館教授)
高橋 沙奈美(たかはし さなみ 日本学術振興会 特別研究員)
前島 訓子(まえじま のりこ 名古屋大学技術補佐員、椙山女学園大学非常勤講師)